呼人 


2006.12.16 神を冒涜する存在 【呼人】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
12歳からいっさい歳をとらない。永遠に歳を取らない大人。いったいそこにはどんな秘密があるのだろうか。神を冒涜するような存在である。それがいったいどのようにして生まれたのか、そしてそこにはどんな意味があったのか。何かとてつもない秘密が隠されているような流れだが、最後までその決定的な秘密は明らかになっていない。小学校時代の同級生との関係、そして大人になってからもずっと12歳のままの呼人の生活。それらは非常に楽しく読むことができたが、肝心の部分がちょっとぼやけているような気がした。神様に守られたように偶然から飛行機事故を回避する。その理由はなんだったのか最後まで気になってしかたがなかった。

■ストーリー

少年は12歳にして「永遠の命」に閉じ込められた!?僕はなぜ大人にならないのだろう。心も躰も成長を止め、純枠な子供のまま生きていくことは果たして幸せなのだろうか。出生の秘密を自ら探る呼人が辿り着いた驚くべき真実とは。

■感想
昔懐かしいずっこけ三人組を思わせる呼人たち。そしてマドンナ的存在の千春。彼らはそれぞれ悩みを抱えながらも平凡な小学生時代をすごしている。そんな中で呼人だけが12歳から歳をとらなくなってしまう。普通に考えれば外見上歳を取らないというのはある程度考えられることだろう。しかし本作は外見だけでなく精神も12歳のままというのは特異な部分だ。

12歳の精神というのになんとなく矛盾を感じてしまうが、まったくの子供がスーツを着る姿を想像すると、それはかなり違和感のあるものだろう。12歳のまま歳を取らない。これにはいったいどんな意味があり、何の目的があるのだろうか。読み進めていくうちにその謎は深まるばかりだ。

同級生は成長しそれぞれの路を歩んで行くなかで、呼人だけが一人取り残されたような形になる。一人永遠に歳をとらない大人である呼人。こんな不思議な状況と、さらには小学生時代に飛行機事故から偶然逃れることができた理由。それらが気になってしかたがない。最終的にはそれらはすべて明らかになるかというと、そうではない。
神をも冒涜するような不老不死の人間。その存在意義や宿命など奥深くまで入り込もうとすると宗教的な観念の話になってしまう。本作はそこに行き着く前に強引に完結しているようだ。

謎の組織や大きな野望が隠されているわけではない。衝撃的な出来事のはずなのにそのバックグラウンドがあっさりしているのでやけに拍子抜けした感はあった。



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