悪いうさぎ 


2005.9.17 可愛らしい表紙にだまされた・・・ 【悪いうさぎ】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
可愛らしい表紙からは想像できないようなグロさであり、後味の悪さも最高潮かもしれない。
メインの事件の陰惨さというか意味のなさ、何故そうなってしまったかなどの説明が
不足しており、読み終わっても結果だけが不気味に心に残っているだけだ。
いくつかの事件が起こるのだが、それらが密接に関わり合うかというとそうではない。
なんとなく結婚詐欺師の事件は本作には必要なかったように思った。

■ストーリー
少女たちはどこに消えたのか?
家出中の女子高生ミチルを連れ戻す仕事を引き受けた私は、
彼女の周辺に姿を消した少女が複数いることを知る。好評葉村晶シリーズ

■感想
葉村晶シリーズなのだが、僕はこのシリーズは始めて読むのでそのせいでいろいろと
説明不足や物語の奥深さを感じることができなかったのかもしれない。
登場人物達も主人公と過去の作品で密接な関係があり、その関係をふまえると
本作での行動も説得力があるものとなっているのかもしれない。

そのあたりを差し引いても、本作の後味の悪さとグロい描写は独特なものだろう。
主人公である葉村晶がこっぴどく痛めつけられる場面では、作者の筆力のなせる技だが
詳細な表現で読んでいる方まで気持ち悪くさせる程のものだった。

合間合間に可愛いうさぎの挿絵が入っているのだが、その可愛さとはうってかわって
普通ではありえない陰惨な事件が起きている。
常識的に考えれば、本作のような事件を起こす人はいないのだろうが、
説得力はないはずなのだが、なぜか心の奥底ではもしかしたらありえるのかも・・
と思ってしまう。

登場人物達の異常さも際だっている。ムカツク登場人物は、そのセリフ1つ1つが
人をいらつかせる力があり、読んでいる物を葉村晶と同様にとてつもなく不機嫌にさせる。
これも作者の能力の1つなのだろう。

表紙と中身のギャップが大きく、ミステリーのトリック云々というよりも
その事件と周りの登場人物に注目してみると、何か新たな発見があるかもしれない。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
*yahoo.co.jp