ウォーク・ザ・ライン 君につづく道


2006.12.18 知らないのに熱くなれる 【ウォーク・ザ・ライン 君につづく道】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
実在する人物であるジョニー・キャッシュやジューンのことはまったく知らない。まったくなじみのない人物の伝記的映画を見るとだいたいがその面白さを理解する前にギブアップしてしまう。本作に限ってはまったく知らなくとも俳優の迫力で十分楽しむことができる。ホワキン・フェニックスの鬼気迫る演技。薬物中毒でのライブシーンなどは自然に目つきが変っていく様が描かれている。実在の人物を知らないのでどれほど似ているのか分からないが、僕の中ではジョニー・キャッシュはホワキン・フェニックスのイメージしかない。リーズ・ウィザースプーンも不安定ながらも最後にはジョニーを支える演技がすばらしい。ストーリーよりも俳優の演技に見せられた作品だ。

■ストーリー

1944年、アメリカ。12歳のジョニーは兄のジャックと共に両親と貧しい生活をしていた。ある時、最愛の兄が突然の事故でこの世を去ってしまう。出来のいい息子を失ったショックでますます荒れる父親とジョニーとの確執は広がっていく。成長したジョニーは結婚し子供も授かる。訪問セールスの仕事の合間に友人とゴスペル・バンドを組んで音楽を楽しむジョニーだったが、家計は苦しく、徐々に夫婦の仲も冷え切っていく。そんなある日、ジョニーは街角で偶然見かけたレコード会社で、オーディションの機会を得る。その実力を認められ、瞬く間にプロのミュージシャンとしての第一歩を踏み出すことになっのだが・・・。

■感想
少年時代から成長し大成功する。そしてどん底を経験しそこから這い上がる。起承転結としては申し分ない人生かもしれない。そんな人生を経験しているジョニー・キャッシュという人物のことをまったく知らなくとも十分楽しめる。逆にもしかしたら本作を見ることでジョニー・キャッシュに興味がわいてくるかもしれない。それほど強烈なインパクトを残している要因はホワキン・フェニックスの熱演に他ならないだろう。

今までなんとなく、ぼんやりとした印象しかなかったホワキン・フェニックスだが、ライブのシーンでの鬼気迫る演技はまさに本当に何かクスリをやっているのではないかと思うほど強烈なインパクトを残している。父親との確執や家族との関係。そして仕事上の仲間であるジューンとの関係など正直よく分からない部分もある。ジョニー・キャッシュという人物に馴染みがあればまた違った面白さを発見できるのだろうが、僕はそれができなかった。しかし壮絶な人生を送っていたといことはなんとなくだが理解できた。

伝記物でその主人公を知らないというのは致命的かもしれない。しかし何もストーリーを追うだけでなく、その俳優の勢いを感じることができれば十分に楽しめるということがわかった。結末間近におとずれる刑務所での慰問のシーンでは囚人達が足を踏み鳴らす迫力とそれに負けないライブ。顔の表情などを見ると、これが本物のジョニー・キャッシュではないかと思えるほど強烈な印象を残している。

ジョニー・キャッシュのことをまったく知らないが、ホワキン・フェニックスの演技を見ると、その
人生の熱さや雰囲気を十分に感じ取ることができるだろう。



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