ボルベール


2007.7.18 ミステリー?人間ドラマ? 【ボルベール】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
ミステリー風でもあり、ヒューマンドラマ風でもある。本作の核はいったいなんなのか、結局最後までよくわからなかった。前半が夫殺害を隠蔽するミステリーであるとすれば、後半はライムンダの周りの人々との様々な係わり合いを描いている。夫亡き後、娘と二人でたくましく生きる母を演じたかと思えば、独善的で我の強い女であったり、様々な表情を見せるライムンダ。それらは、母親との再会ですべて明らかになる。宿命とも言うべき運命を、親子ともどもたどっているような気がするが、それらが特別シリアスに描かれているわけではない。何がポイントなのかよくわからなかった

■ストーリー

しっかり者のライムンダは、失業中の夫と娘のために日々懸命に生きていたが、血のつながらない娘を襲おうとした夫を娘が殺してしまったことから、平和な日々は一転。彼女は死体を隠し、娘をかばうことに奔走していた。そんなとき、ライムンダの姉ソーレは火事で亡くなった母が自分の目の前に現れて驚く。幽霊? 幻? 母と暮らしはじめるソーレ。姉を尋ねたライムンダは、ソーレの家で母の気配を感じた。しかし、母はライムンダの前に現れることができないという。仲違いしたまま死んだので、会う勇気がないと言うのだ。それでも娘を思う気持ちは変わらない。やがてふたりが再会するときがきた…。

■感想
三世代の女性、それぞれが宿命とも言うべき事件に遭遇している。血の繋がっていない父親に襲われる娘。そして母親の立場として、どのような行動を取るべきか悩むライムンダ。宿命とも言うべき出来事なのだが、母子は強く生きていく。最初はこの親子が、貧しいながらもしっかりと生きていくドラマかと思ったが、途中から死んだはずの母親が登場するなど、とたんにミステリーの様相を帯びてくる。

足が悪いはずのおばさんの家に自転車があったり、料理が作ってあったりと、明らかになにかありそうな雰囲気を漂わせている。しかし、そのミステリーな部分は中盤であっさりと暴露されてしまう。その後は失われた親子の絆を取り戻すように、しっかりとした人間ドラマとなっている。娘を捨てた親、捨てられたと気づいてはいないが、仲たがいしていると思っていた娘。この親子の関係が修復するとき、すべての人間ドラマが完成するようだ。

あのミステリアスな雰囲気ははたして必要だったのだろうか。あれがあることで随分作品のトーンが変わったような気がする。素直にヒューマンドラマとして、最初から最後まで三世代の女の親子ドラマを描いていれば、またかなり違った作品になっていただろう。しかし、ペネロペ・クルスだげがダントツに綺麗で、他の兄弟やいとこなどは、まったく似ても似つかないのは違和感があった。

ほんの少しラブロマンス風な流れになりそうだったが、それもあっさりと流している。なんだか見ていて、随分
右往左往したような気分だ



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