美しき凶器 東野圭吾


2005.8.10 ジョイナーが追いかけてくる 【美しき凶器】

                     
■ヒトコト感想
どんな内容かと問われると、復讐劇と答えるしかない。ミステリーの要素はほとんどないが
2時間ドラマで放送するぶんにはちょうどいいような作品だ。
淡々と流れていく物語の中で登場人物を自分なりにイメージするのだが、
本作のメインである忍びよる復讐者を女子100mのジョイナーをイメージした。
確かに、ジョイナーが走りながら自分に向かってきたら
めちゃくちゃ怖い(笑)

復讐者が少し特殊というだけであとは平凡なのかもしれない。

■ストーリー
安生拓馬、丹羽潤也、日浦有介、佐倉翔子。かつて世界的に活躍したスポーツ選手だった彼らには、
葬り去らなければならない過去があった。
四人は唯一彼らの過去を知る仙堂之則を殺害し、いっさいのデータを消去。
すべてはうまく運んだかに思われたが…。
毒グモのように忍び寄る影が次々と彼らを襲った!迫りくる恐怖

■感想
復讐劇での面白さは、その復讐理由と復讐者の恐ろしさにあると思う。
本作では得体の知れない復讐者ではあるが、気持ちは純粋であり、
1つのことに邁進するような印象を受けたので、読者からするとそれほど
恐怖感を感じるということはない。
しかし、容貌が特異である為に普通とは違うという印象を与え
恐怖感とはまた違う、復讐者としての何をしてくるかわからないような
予想できない恐ろしさはある。

復讐者が日本語が不自由というのも復讐するにあたっての障害として
物語を面白くしているのだが、その解決策がどうにも強引であり、
はたして地図を見るだけで目的地に到達できるのかは、毎回疑問に思ってしまった。
ご都合主義かもしれないが、ひっそりとターゲットを狙うはずの復讐者が
その体格ゆえに普通にしていても目立つはずが、いっさい途中で
警察に捕まったりしないというのも目をつむるべきことだ。

物語の緊張感を最後まで引っ張りつつ、なんとなくオチが予想できたが
意外にあっさりと終わったなという印象を受けた。
結局のところ、超人的な肉体を持った復讐者の生い立ちに関しては
一切語られなかった。復讐に走らせる動機を明確にするためにも
どのようにして超人的な肉体を手に入れたか、周りとの関わり合いは
どうだったのかを少しは表現してほしかった。

最後の結末は、僕は特に何も思わなかったが、男よりも女性の方がなにかしら
心に響くものがあるのかもしれない。



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