2008.2.18 このアイデアはすばらしい 【アンノウン】
評価:3
■ヒトコト感想
仕組みは非常に面白い。このアイデアはかなり秀逸だと思う。極限状態の五人がお互いを牽制しあいながら脱出を試みるあたり、かなり緊迫感がありよかった。これをうまく使えば相当面白い作品ができると思ったのだが、なんだか一味足りない気がした。五人の中で誘拐犯と人質という図式が二転三転するわけでもなく、なんとなくだが、かすかに記憶が戻り流れていく。記憶が混乱するあたりをうまく利用すれば、かなりのどんでん返しができたのではないだろうか。ワンアイデアが非常に優れていると思うが、余計な部分も多かった。犯人一味が身代金を手に入れるくだりはそれほど重要だろうか?そこに時間を割きすぎのような気もした。
■ストーリー
錠に閉ざされた廃棄工場の中で意識を取り戻した5人の男たち。だが5人とも記憶を失っていた。分かっているのは、5人のうち2人が人質で3人が誘拐犯だということ。混乱と疑念が渦巻く中、次第に断片的な記憶が蘇ってくるのだが…。極限状況で記憶を失った5人の男たちが疑心暗鬼にかられながら繰り広げる壮絶な生き残りバトル。
■感想
閉じられた空間で五人の男が記憶をなくし右往左往する。どこかCUBE的でもあり初期のSAWのようでもある。記憶をなくした五人が誘拐犯と人質というのも非常に面白い設定だと思う。どちら側かわからない五人が混乱する様は観衆も同時にその気分を味わうことができる。少しずつヒントが提示され、だんだんと関係性が明らかになってくるのだが、そのきっかけがフラッシュバックするように戻る記憶というのもなんだか微妙だ。そして、極めつけは犯人側と人質側が当初の予想通り、まったく裏切りがなかったことに少しがっかりした。
非常に面白いアイデアだけに、冒頭から物語に引き込まれてしまった。最初の三十分は手に汗握る展開というか、いったい何がどうなったのか、まったく画面から目が離せなかった。誘拐事件とわかり身代金を手に入れるくだりが流れてくると、とたんにテンションが下がり、だらだらと流れに身を任せているようにすら感じた。もっと、お互いがお互いを疑いあいながら、罠をしかけ、真実を暴くというようなどこか神経戦のようなものを求めていたのかもしれない。
結末に至ると、多少のどんでん返しはあるが、それほど衝撃も受けない。誘拐の背景や、それぞれの登場人物の個性が明確でないため、物語に厚みが感じられなかった。ただ、そこにいる男たちが誘拐犯と人質に別れているというイメージしかない。記憶がないから描けないというよりも、もっと外側からの情報で、密室にいる五人の素性が明らかになればもっとよかったのかもしれない。密室でのへんな連帯感は非常にうまいと思うが、緊迫感を削ぐ結果となってしまっていた。
繰り返しになるが、このアイデアはすばらしい。それだけに、面白さが伴わなかったのは非常に残念だと思った。
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