超・殺人事件~推理作家の苦悩 東野圭吾


2005.6.21 作家に対する皮肉にニヤリ 【超・殺人事件~推理作家の苦悩】

                     
■ヒトコト感想
タイトルの殺人事件には何の意味もない。推理作家の苦悩や出版界の皮肉に溢れる作品。 僕はこんな感じの楽屋話的なものはものすごく好きだ。 特に僕が好きな作家がマニアックなうんちくと半端無く長い作品をよく書いているので、 モロに本作の皮肉に合致している。 どこかすれた感じがする東野圭吾ならではの文壇をおちょくる作品は面白い。

■ストーリー
新刊小説の書評に悩む書評家のもとに届けられた、奇妙な機械「ショヒョックス」。 どんな小説に対してもたちどころに書評を作成するこの機械が、推理小説界を一変させる―。 発表時、現実の出版界を震撼させた「超読書機械殺人事件」をはじめ、 推理小説誕生の舞台裏をブラックに描いた危ない小説8連発。 意表を衝くトリック、冴え渡るギャグ、そして怖すぎる結末。激辛クール作品集。

■感想
なんでもブームというもんがあるのだろう、特に小説などはブームによって売り上げが 左右されると言っても過言ではない。 そのブームに乗り遅れると途端に売れない作家になってしまう。 今のブームはとてつもなく長い長編やマニアックなうんちくなのだろうか?? それを本作では分かりやすくおちょくっている。本作を読んで気分を悪くする 作家もいるかもしれないが、それも含めて読者にとってはとても興味深い。

本作で皮肉られていることが特別悪いとは僕は思わないが、 どこか心の中で思っていたことをはっきりと文章にしてくれたので、 とてもスッキリとしている。偉そうに説教臭くしているわけでもないので、 読んだ後味がどんよりとすることもない。 非常に分かりやすく読んでいて楽しい作品だ。

全ての短編に殺人事件とつけるのは、推理作家ゆえの遊び心か? それともこのシリーズをあらかじめ考えていたのか? タイトルを変えれば、毒笑小説の中に入ってもいいような作品も多々ある。

東野圭吾は本作のような社会風刺的なものを含めてブラックな短編小説は とてもすぐれていると思う。 読み終わった後に読者を不快にさせることなく毒を吐いている。 中には不快に思う人(作家?)もいるかもしれないが、 そんゆう人はちゃんと自覚した方がいいのかもしれない。




おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp