鳥人計画 東野圭吾


2005.7.4 新たに興味が広がる 【鳥人計画】

                     
■ヒトコト感想
その作品を読むことによって新たな興味がわいてくるような作品はすばらしい。
正直、スキーのジャンプ競技には興味がない、しかしこれからは
見るたびにジャンプ時の姿勢や角度などを気にしながら見るだろう。
事件のトリックやミステリー部分よりも、物語の中で自然に
ジャンプの奥深さを感じさせてくれるところが秀逸。

■ストーリー
「鳥人」として名を馳せ、日本ジャンプ界を担うエース・楡井が毒殺された。
捜査が難航する中、警察に届いた一通の手紙。それは楡井のコーチ・峰岸が犯人であることを告げる
「密告状」だった。警察に逮捕された峰岸は、留置場の中で推理する。
「計画は完璧だった。警察は完全に欺いたつもりだったのに。
俺を密告したのは誰なんだ?」警察の捜査と峰岸の推理が進む・・・

■感想
早い段階で犯人が分かり、その動機は不明だがそんなことはあまり関係ない。
強いて言うなら登場人物がすべて今回の事件に何らかの関係があるのだろうが
それがどんな関係なのかに興味を引かれた。
複雑な構成、ジャンプに関わる人間の心理的なものから
コーチと選手の人間関係
。それらが合わさって複雑に思える中にも
筋が通されており、綺麗に整理整頓されている。

現在の競技スポーツで、最終的にいきつくところは本作のような科学を駆使した
ものになってしまうのだろう、本作はそれに警告をならしているような
気もするが、僕はあまりそうは思わない。
科学を駆使した競技スポーツもある意味それを実行できる環境と才能がなければ
成し遂げることはできない。全く同じ人間は二人といないのでどこか歪みは
生じるだろう。そこが競技で争うポイントだと思っている。

ジャンプというあまり一般人には馴染みのないテーマをあえて選び、
普通の人ならば、ジャンプがテーマと聞くとちょっと読むのに二の足を踏むところだが、
どうやら作者はそんなのはお構いなしらしい。
自分の書きたいこと、興味があることに満身するタイプなんだろう。

最近の日本ジャンプ陣がどうかは分からないが、一昔前の強かった頃に発表された
作品であり、その頃を思い出しつつも、今の日本ジャンプ陣に頑張ってほしいと
思ってしまった。




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