ちゃれんじ? 東野圭吾


2007.12.6 男、四十後半にしてチャレンジする 【ちゃれんじ?】

                     
■ヒトコト感想
正直、スノボ好きか東野圭吾好き以外は読む価値はないかもしれない。ただ、両方当てはまる者にとってはかなり気になる作品であることは間違いない。四十後半のおじさんがスノボを初心者からスタートする。普通の若者でさえ、最初のスノボは結構つらいものがある。それをおっさんができるのだろうか。読んでいくうちに、この人は本当にスノボが好きで好きでたまらないのだなぁと思えてきた。同じくスノボ好きの人間としては、その気持ちはわからなくもない。ただ、平日に一人ですべりにいくというのはかなりの筋金入りだ。

■ストーリー

「えっ、何するて?何ボー?鉄棒?」(母)四十代半ばで、若者のスポーツ“スノーボード”に魅せられた者の奮闘、転倒、歓喜の日常を綴る。いつ連絡してもつかまらない…編集者の嘆きもどこ吹く風? スノーボードに熱中する日々を綴った人気作家のエッセイ集。

■感想
ベストセラー連発の売れっ子作家が、四十後半にしてスノボをはじめる。普通に考えるならば、その年からはじめるようなスポーツではない。若いときにバリバリやった人も、ちょっと落ち着いて、控えめになる年齢だろう。都内から朝早く出発し、滑ってそのまま日帰りする。こう書くと、たいしたことのないように感じるかもしれないが、実は想像以上に帰りは大変なことになっている。若いときでさえそうなのに、おっさんがはたして続けることができるのだろうか。読む前の思いは、完全なる野次馬根性だった。

読み進めていくうちに、大きな思い違いだとわかった。1シーズン大体2,3回くらいのペースでおよそ7年ほどスノボを続けてきたが、この作者のような気分になったことは一度もない。それなりに滑れるようになっても、連続して行きたいとは思わなかった。すべる前と滑っている最中はめちゃくちゃ面白い。テンションも上がるし、ものすごい爽快感だ。ただ、滑り終わったあとのあの倦怠感はどうしようもない。ぐったりと疲れてしまう。

ある程度技術の向上が望めなくなるレベルまでくると、ペースは落ち着くのかもしれない。本作が2003年を最後としているのを見ると、今の時点で同程度のテンションですべりに行っているのか気になるところだ。

四十過ぎのおっさんが、まったくの初心者からスノボをはじめる。そんな初心者体験記として読むには適していない。作者のスノボをしたいというパワーがものすごいので、その勢いに圧倒されてしまう。まったくの初心者が読んで参考になる部分はほとんどないだろう。ただ、同年代が刺激を受けるには調度いいのかもしれない。




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