椿山課長の七日間 


2007.7.24 泣ける要素てんこもり 【椿山課長の七日間】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
死を扱う作品はそれだけで、ある程度感動を誘うことができる。本作も王道から外れることなく、きっちりと泣きポイントはある。しかし、本作の優れているのはそこだけではなく、システマチックされた死後の世界にあるのだろう。お涙頂戴ものとして考えると、テンションにばらつきが生じ、あまり好ましくないはずだ。お役所的な対応をする死後の世界。椿山が必死に邪淫の罪を弁解する必要がないほど、あっさりと形骸化されたシステム。この死後の世界が涙を誘う物語の中で、異彩を放ちながらも、効果的な役割を果たしている。

■ストーリー

働き盛りの46歳で突然死した椿山和昭は、家族に別れを告げるために、美女の肉体を借りて七日間だけ“現世”に舞い戻った!親子の絆、捧げ尽くす無償の愛、人と人との縁など、「死後の世界」を涙と笑いで描く。

■感想
死後の世界から現世に戻る理由。死後の世界がこれほどシステマチックでお役所的で、さらにボタンさえ押せば極楽にいけるとなれば、誰だってそうするだろう。そんな状況にありながら、自分の邪淫の罪をはらすために現世に戻る椿山。蘇ってからの行動を読むと、邪淫の罪をはらすよりも、自分が途中でほっぽりだした、売り上げ予算の達成状況の方が気になったのではないだろうか。

椿山に比べると、他の二人の理由は納得できた。特にヤクザの親分のくだりは、泣ける場面でもある。やはり、亡くなった親分を慕う子分という図式は、心にしんみりと染み渡る何かがある。同じように椿山の場合も、死んだあと、仲間たちが弔い合戦のように、売り上げ予算を必死で達成しようとした場面もジーンとくる。

死からの蘇りとなると、感動する場面は作りやすいのだろう。物語をドラマチックにするために、大げさな演出もあるだろう。最後には様々な登場人物が、実は繋がりがあったりという驚きやスッキリ感もある。ただ印象としては、随分いろいろと詰め込みすぎて、過剰演出のような気がした。
サービス精神旺盛なのはいいのだろうが、目移りしてしまった。

すばらしい感動ものには違いないが、その感動が一瞬で消えてしまうのは少し勿体無いような気がした。



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