チームバチスタの栄光


2008.5.3 生々しい医療ミステリー 【チームバチスタの栄光】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
原作は未読。しかし、そのうち読むだろう作品。まったく予備知識なく、ただ、ミステリーということだけわかっていた。本作の特徴はまぎれもなく個々のキャラクターだろう。狂言回し役の田口が観衆と同じ目線で関係者たちの個性を理解していく。この個性が謎解きにどれだけ大きく影響してくるのか…。最終的には、医療ミステリーということで、一般人には到底思いつかない部分をトリックとして使っている。キャラクターの素晴らしさと医療トリックというのは新しいと思う。田口のぼけっとしたキャラクターも良い。ただ、一部の俳優の微妙な演技が…。まぁ、それは置いといて、医療現場のリアルな雰囲気を感じ取ることができる作品だろう。

■ストーリー

成功率60%といわれる心臓手術「バチスタ手術」を26例連続成功させていた、東城大学付属病院の専門集団「チーム・バチスタ」。しかしその手術が3例連続で失敗するという事態が起きた。原因は果たして事故なのか? それとも故意の“殺人”なのか?? 心療内科医の田口は院長の命で手術失敗の内部調査を行うことに。聞き取り調査の結果彼女は単なる事故として調査を終了しようとするが、そこに厚生労働省の白鳥が現れ……。

■感想
まず、バチスタ手術というものを映像化し、それをしっかりと見せられると、それだけで目が釘付けになってしまう。心臓を切り取り、その部分を縫い合わせ、心臓を小さくする。まるで医療ドキュメンタリーを見ているような感覚にすらなってくる。緊迫感溢れる手術室。それぞれの個性を存分に発揮しながら、見ていると自然と手術の手順というのがわかってくるから不思議だ。今まで、手術中がメインのミステリーというのはないだろう。そういった意味でも、手術中に何が起きているのか、それを見逃さないよう自然と目が釘付けになってしまう。

原作は未読だが、恐らく本作以上に、個々のキャラクターは立っているのだろう。先に映像を見てしまった関係上、原作を読む場合でも、そのイメージで考えてしまうのだが、配役はとても合っていると思った。ただ、天才外科医役が吉川晃司である必要があったのかどうか…。非常に重要な役どころのはずが、結末でのトリックを暴く部分で、妙にたどたどしく感じてしまった。周りが素晴らしい演技をするだけに、どうしてもそこだけ浮いてしまっている。

医療ミステリーという触れ込みどおり、医学の知識がなければ、絶対に最後のトリックに気づくことはできないだろう。ある意味、完璧なトリックといえるのだが、タネを明かされたからといって、大きな衝撃は無い。ふーん、そうなんだという感想しかない。それは当然知識の問題なのだが、衝撃が和らいでしまうのは確かだ。ただ、それなりに伏線もしっかりと張られているので、すっきりした感じは味わうことができる。

実際の医者が描くだけあって、リアルなのだろう。そのリアル感を門外漢としては素直に受け入れるしかない。緊迫した心臓が鼓動を取り戻す瞬間。これは、現役の医者しか表現できないのだろう。



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