トランスアメリカ


2007.2.20 衝撃的な女優の演技 【トランスアメリカ】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
女になりたい男。世間一般ではタブー視されている部分をアメリカならではの視点で描いている。日本ではこのストーリーは通用しないだろう。日本よりは理解があるとはいえ、アメリカでもこの手の差別はあるのだろう。本作を観てものすごく感じたのは、あるタブーに触れたついでに他のことも一緒に表現しようとしているようだ。特に息子が金のために売春し、最後にはポルノ映画に出演する。ホロリとくる場面もあるが基本的にはどこか異次元の世界のものとして見てしまった。決して感情移入はできないがわずかながら共感できる部分もある。

■ストーリー

ブリーは男性だが、肉体に違和感を覚え、女性になるための手術を控えていた。そんな彼の元に、逮捕された息子を引き取りに来てくれと連絡が入る。じつは、かつてブリーは結婚しており、そのときにトビーという息子ができていたのだ。ブリーは、教会の職員(もちろん女性)だと偽ってブリーと面会し、彼を養父の家へ送り届けようとする。

■感想
心だけでなく体も女になりたいと願う男。そして突如降ってわいたように現れた息子。この親と息子の二人旅はロードムービー的であり差別や偏見の目にさらされる旅でもある。息子と旅することでわずかながらでも父性が目覚め、変わっていくのかと思った。しかしそう単純にいくものではないらしく、結局親子ともども初志貫徹というか最初の願いどおりの方向に進んでいる。

二人が出会うことで何が変わったのだろうか。ブリーが家族に姿を見せるシーンや自分が親であると告白するシーン。それらは衝撃的ではあるが結局二人にとってなんらその後の行動に影響を与えるものではなかった。親子の絆は深まったのだが、自分の心の中にある違和感を解消するまでにはいたらなかったのだろう。

必見なのは
主演の女優が男に見えるところだ。正真正銘の女なのに男が女装したように振舞う。これが本当にそう見えるからすごい。全編とおして強烈な印象を残しているのは、主演女優の演技と息子の売春シーンだ。



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