2006.12.2 愛をとるか、国をとるか 【トリスタンとイゾルデ】
評価:3
■ヒトコト感想
中世ヨーロッパでの愛の物語。有名らしいがよく知らなかった。そのため何の先入観なしに見ることができ、純粋にストーリーを楽しむことができた。中世ヨーロッパでの国同士の争い。そこに絡む恋愛模様。非常に悲劇的な印象が強い。特にトリスタンの苦しげな表情はイゾルデへの愛の大きさと自分の国を思う心の葛藤なのだろう。最終的には愛のために国を滅ぼしたという自戒の念にとらわれるトリスタン。それにくらべるとイゾルデは愛だけが全てのような印象を受けた。大人になろうとして、なれなかったトリスタンと大人になろうとしなかったイゾルデというところか。
■ストーリー
イングランドの若き騎士トリスタンは戦闘で重傷を負い、衰弱しきった身体のまま海に流されてしまう。そんな彼を献身的な介護でかくまったのは、敵国アイルランドの王の娘イゾルデ。自然と恋に落ちた2人だったが、トリスタンの育ての親であるコーンウォールの領主マークとイゾルデの政略結婚が決まってしまう。やがて、トリスタンとイゾルテの禁じられた愛は、互いの国に危機をもたらすことに。
■感想
おそらく本作は戦闘は二の次で恋愛メインだからそうなったのだろう。しかし内容から言うと戦闘も重要な要因だと思うのだがどうしてもその戦闘シーンに迫力を感じることができなかった。その反面、恋愛に関しては硬派で心を抑えようとするトリスタンが非常に良い味を出している。見た目はただの若者なのだが、その心の葛藤を表情にするのがとてもすばらしかった。何かを悩みつくして呆然とする表情など、その辛さを感じさせるには十分の表情だった。
トリスタンが国を思うのとは対照的にイゾルテは自分の恋愛を中心に考えているようだった。国を思うそぶりをしたのもトリスタンに諭されたからであり、自分から進んでそうなったわけではない。トリスタンと比べるとイゾルテは何かしっかりとした芯がないように感じられた。
主君の女を寝取るというのは、その主君の価値を下げることだ。しかし、王は国をしっかり管理すべき人間だ。王が部下に女を寝取られたのは管理能力がないからだ。ゆえに王には国を管理する能力がない、と反乱が起こる。随分と強引な三段論法だと思った。
トリスタンの愛をとるか、国をとるかで葛藤する表情は見る価値ありだろう。
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