ザ・シューター 極大射程


2007.6.19 超長距離の緊迫感 【ザ・シューター 極大射程】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
ミステリー部分が話題とされている本作。しかし実際にはミステリー部分よりも超長距離からの射撃シーンに痺れてしまった。名作であるスターリングラードを思わせるほどの強烈な緊迫感を残している。それらが登場するのが冒頭と結末間近とくれば作品の印象としては射撃シーンが心に残るのは当然だろう。確かにミステリー部分も捨てがたいが、タイトルどおり、有無を言わさぬ強烈な射撃シーンのインパクトが強すぎる。特に最後の雪山のシーンは、巨大な敵に立ち向かいながらあっさりと主導権を握り、ジワジワと相手を精神的に追い詰めていく。まさにこれぞスナイパーの真髄だと思った。

■ストーリー

元海兵隊の名狙撃手、スワガー。軍を退いて山奥で暮らしていた彼の元を、退役したジョンソン大佐らが訪ねてきた。彼は大統領暗殺の動きがあることをスワガーに話し、その阻止を手伝ってほしいという。スワガーは大統領の遊説先を狙撃手としての経験を活かして調査し、唯一と思われる狙撃ポイントを発見。演説当日も大佐らとともに、現場の見張りについた。すると銃声が鳴り響いた…撃たれていたのはなぜかスワガー自身だった。

■感想
さすがに売りにするだけあってミステリー部分はすばらしい。どこまで力があるかわからない謎の組織にはめられたスワガーが一人孤軍奮闘する。ただ、普通のミステリーとは異なりすでに結末がわかっているので、ミステリーっぽさは少ないのかもしれない。はめられた者が真犯人を見つけ出すために、突き進む。ある程度決まりきったパターンなのかもしれないが、本作には凄腕のスナイパーというおまけがついているので、違った雰囲気となっている。

普通ならば黒幕を探す道中で、どうしても激しいドンパチがあるはずだが、本作はそれすらも必要最小限となっている。あくまでスナイパーとして敵と戦うその姿。どこから打たれたかわからずに次々と周りの仲間が倒れていく恐怖は相当のものだろう。遠く離れた湖に浮かんだ小船の上だと気づいたときには、もう遅い。この
神出鬼没感と圧倒的な力があってこそ本作の爽快感の源となっているのだろう。

ラストは今までの流れからすると随分あっさりと、そして普通に終わったなぁという感じだ。その前の雪山での緊迫したやりとりのあと、悪が最後までのうのうと生き残ることはないと思いながらもどうやって始末するか、それだけだったのだが…。特別ひねりもなく、スナイパーとしての本領を発揮するでもなく、普通に終わってしまった。結局、結末は予想通りなのだが、黒幕の倒し方にもこだわってほしかった。

超長距離からの射撃という緊迫感と、どこから撃たれたのかわからないうちにやられていく衝撃。この二つが相まって本作をすばらしいものにしている。



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