タイヨウのうた


2006.7.26 主役の演技力が問題か? 【タイヨウのうた】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
せつなく、そして悲しい。物語の流れは非常に悲しい物語だ。それを形作る俳優達もすばらしい演技で演出に華を添えている。特に岸谷五郎などは病気の娘を持つ父親の苦悩というものをぶっきらぼうながらもいい父親として演じている。娘に微妙に嫌われているあたりもリアリティがある。それらすばらしい俳優に囲まれ泣ける話になるはずが・・・。やはり主役にミュージシャンをもってきたのは失敗だったような気がする。最初はそのぎこちない演技も独特の雰囲気を出していたが最後の最後までぎこちなさがとれなかった。周りがすばらしい演技をするだけにそこだけへんに浮いているようで、感動に寸止めをくらったようだった。

■ストーリー

日の光にあたれない難病XP(色素性乾皮症)の少女、雨音薫は16歳。昼間の高校に通えない薫は、夜になると駅前広場に出てギターの弾き語りをしている。そんな彼女にとって、早朝にサーフボードを持ってたたずむ1人の少年を、部屋の窓から眺めることが密かな楽しみだった。夏休みを間近に控えたある日、夜の街で少年と遭遇した薫は、勇気を振り絞って彼に声をかける。薫と少年・孝治はやがて親しくなり、月の下でデートをするようになるが…。

■感想
特徴的な歌声で周りの人々を感動させるという役柄にはぴったりなのかもしれない。病気で外に出られない内気な女の子という設定も合っていると思う。しかしいくら内気だからといって常にギクシャクした動きをするはずがないのだ。どこかで心許す場面があったり家族と過ごすときは自然になるはずだが、本作の主人公である薫はいつも同じだった。

この演技を心に傷を持ち、ひねくれてしまったうえでの性格だといわれればそう思うのかもしれないが、うれしくて喜びを表現したり悲しい場面であってもそれが見ているものに伝わらないのは致命的かもしれない。ストリートライブのシーンではさすが本職だけあって非常に生き生きしているように感じられた。それだけに普段の生活とのギャップ、そして結末での不自然さは、かなり気になってしまった。あと、これは蛇足かもしれないが、病気な割にはふっくらとしすぎていたのも気になった部分ではある。

話的にも不幸な少女が希望を見出し、そして周りが協力して夢をかなえる。その後その少女は力尽きてしまう。絶対に泣けるシチュエーションであるはずが泣けないのは脚本が悪いのか?俳優が悪いのか?まあ、それはどちらでもいいのだが話はいい話なのに肝心なところであともう一押し足りなかった。たたみ掛けるような感動の嵐を起こせば絶対に観客を泣かせることができるはずなのに、盛り上がっていく心が
頂点にたっする直前に寸止めされた。まさに蛇の生殺しだ。

もしかしたら普通に泣けるという人は多いのかもしれない。よく考えれば僕自身、映画を見てなくということはあまりないタイプなのでほとんど参考にはならないだろう。



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