2006.5.23 知られざる感動物語 【少年とストライカーと約束】
■ヒトコト感想
普通の小説かと思っていた。時間にして5分程で読み終わってしまうちょっとした絵本のようなものだがその感動は十分に伝わってくる。ほのぼのとした絵柄からにじみ出るやさしさや、トマソンを含めたデンマーク代表のすばらしさを感じた。少年の境遇の辛さを思い浮かべると涙なしには読むことができない。ありきたりだが、デンマーク代表のすばらしさに感動し、少年とトマソンとの心のふれあいにホロリとなった。
■ストーリー
「ボクは小さいころに病気にかかって、口と耳が不自由です。耳は聴こえません、言葉は話せません…」その光景を見ていた通訳も記者も言葉がない。文面を読み終えた彼は、顔を上げると少年に向かって微笑み、ゆっくりと両手を動かして語りかけた。「神様は、君にもゴールを決めるチャンスをくれるはずです」インターネットで読み継がれた感動の実話。
■感想
「神様は、君にもゴールを決めるチャンスをくれるはず」この言葉を少年に対して言う権利があるのは、本作に登場するトマソンとその仲間達であるデンマーク代表だけだろう。口と耳が不自由な少年に対して、何気なく教師や友達がそんなことを言ってもそれほど心に響かないだろう。W杯のために日本にやってきた異国のサッカー選手との交流から生まれた信頼感なしでこの言葉の重みを図り知ることはできない。
正直、トマソンは知っていたがデンマーク代表はほとんど知らなかった。そんなマイナーな代表チームもキャンプ地ではものめずらしさからヒーロー扱いされるのだろう。一時的なものとわかっていながらキャンプ地でファンを大事にし日本への理解を示そうとするデンマーク代表とその監督。本作を読むと確実にデンマークという国がどんな国で、どんな代表選手がいるのだろうと興味を持ってしまう。それだけすばらしい代表選手たちだからだ。
W杯で得点を取ることがいかに難しいか理解している人にとっては、ある意味マイナーなトマソンが一次リーグで大爆発したのは意外だったかもしれない。しかしその裏には少年との約束があり、キャンプ地での人々のふれあいがトマソンの得点を後押ししたのだろう。
病気の子供のために何かをする。例えばホームランを打つとか。この手の話は巷にあふれかえっているだろう。しかし本作が違うのはマイナーなデンマーク代表とマイナーなトマソンという選手が地元民とふれあい少年と心を通じ合わせるという、普通ならば絶対にありえないシチュエーションだからこそ感動もひとしおなのだ。
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