好きだ


2007.9.12 甘くせつないのは若いときだけ 【好きだ】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
前半と後半で大きくパートが分かれており、前半が17歳、後半が34歳のそれぞれを描いている。前半部分は、その年代独特の相手に対して正直になれない気持ちや、妙に潔癖であったりと、淡い雰囲気がよくでている。見ていると、どうしても自分の青春時代を思いだしてしまう。それに比べると、後半はなんだかずいぶんと落ち着きすぎた面白みのない雰囲気に感じた。大人になってから若いときの雰囲気を再現するのは難しい。そして同じ恋愛を扱うと、どうしても見劣りしてしまう。前半はかなりよかったが。後半はほとんど心に残らなかった。

■ストーリー

17歳から34歳へ…。あるカップルの17年越しの想いを繊細に切りとった一作。主人公のユウとヨースケを、高校時代が宮崎あおいと瑛太、17年後を永作博美と西島秀俊が演じ、違和感のない完璧なキャスティングだ。川辺でギターを弾く同級生のヨースケに、高まる想いを打ち明けらずにいるユウ。一方、ヨースケもユウの存在を忘れられないまま大人になり、17年後、ふたりは再会を果たす。

■感想
キャストのことを別にどうこう言うつもりはないが、宮崎あおいの成長した姿が永作博美か…。まあ、いい。雰囲気的には17歳と同じようなトーンでいこうとしたが、どうしても年齢的な問題でその純粋さは薄れてしまっている。「好きだ」という言葉が言えなかった前半と、言えた後半。単純に年の数だけ成長しているとも思われるが、その間にも様々な恋愛をしているだろうと想像してしまうと、少しピュアな印象は薄れてしまう。

前半のなんともいえない二人の距離感は絶妙だと思った。付き合っているわけでもなく、知らない間柄ではない。良く一緒にいるが、それ以上の進展がない。
同級生のお姉さんに恋をするなんて、まさに誰もが通る青春の一ページだろう。二人の微妙な距離感と、突然ユウがお姉さんの制服を着てくるくだりが最高だった。相手をからかうような素振りを見せながらも、かまってほしいというのが見え見えのところもだ。

何に対しても臆病で、それでいて何に対しても純粋で穢れをしらないのが17歳とすれば。人生のすいも甘いもだいたい経験してきた、大人となってしまった34歳。この二つを単純に比較するのは難しく、前半と同じトーンで見るというのも無理がある。いくらなんでもその年でなかなか好きと言えないのもないだろう。ここまでくるとただの恋愛の駆け引きとしか見えなかった。

前半と後半の落差が大きいだけに、前半のすばらしさだけが心に残った。



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