素顔の私を見つめて


2006.10.5 いつの時代もタブーはタブーだ 【素顔の私を見つめて】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
世間一般で昔と比べるとタブーとされていたことが、ずいぶん減ってきたと思う。同性愛もその1つで、昔ならば到底カミングアウトできることではなく、その気持ちは自分の中だけにひっそりと留めておくしかすべがなかった。それが今や世間的にはそれほど驚くことではなくなっている。そうは言っても当事者となると、そう簡単にはいかない。そんなタブーとされていることに母と娘が直面し、その時二人はどうするのか。母と娘というのは一般的に友達感覚になりやすいのだろう。なんだか見ていると、どちらが母親か分からなくなってきたりもした。お互いがお互いを補完しあって、苦しい立場から抜け出し殻を破る。そんなすっきりとした後味の作品だ。

■ストーリー

同性愛者であることを隠し、愛する女性を心に秘め苦悩の日々を送るウィル(ミシェル・クルージ)。そして、彼女の母も人には言えない男の子供を身ごもり、思い悩んでいる。母、娘、それぞれの人生の岐路にぶち当たる。古い考えを持つ父親、そしてセレブな人々に囲まれながらそれぞれの下した決断は・・・・。

■感想
自分が同性愛だということをカミングアウトできるか、できないかの違いは本人の気持ちもあるにせよ、周りの環境が一番大きいのだと思った。本作に登場する人々は周りの目を気にし、自分の体面を保つことに必死になっている。特にウィルを取り巻く人々は世間の目だけを気にしている。そんな環境の中で育ったウィルが自分のことをカミングアウトできるか・・・。母親と娘のなんともいえないフランクな関係がとてもよく表れていた。

本作を見て、どう思うかはさておき、自分の思ったことを思ったとおりやることはとても難しいことだと思った。自分自身のことならば全て自分で責任をとり、自分の好きなようにやればよい。大人ならばそう思ってしまう。しかし自分の周りには、自分に関わる様々な人々がおり、その人たちにどんな影響を与えるか、そんなことまで考えなければならない。それを考えずに実行できる人は良い意味で思いっきりがあり、悪い意味では自分勝手なのだろう。

母親と娘はどちらも、世間を気にしながら自分の思い通りに生きたいという葛藤がある。その葛藤はタブーに挑戦している人ならばだれしもが持つものだろう。やって後悔するのか、やらずに後悔するのか、人生の岐路に立たされたとき、吹っ切ることができるのは勢いと
ほんの少しの勇気と後先考えない無鉄砲さがあれば誰でもできることだ。

本作は最後には幸せに暮らす家族が登場している。なんだかんだ言っても、世間体よりも家族を大事にするということか。



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