ステイ・ゴールド 


2006.11.30 女版スタンド・バイ・ミーを目指したが・・ 【ステイ・ゴールド】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
伝説の雫を求めて冒険する三人の少女。女版スタンド・バイ・ミーを目指したようだが、なんだかとても中途半端な気がしてならなかった。三人と自殺した奈美の関係がそれなりに説明されているのだが、少しそのキャラクター付けが弱いような気がした。読んでいてもそれぞれの個性を強烈には感じることができない。決定的なことは頭に映像として思い浮かべることができなかった。こうなってしまうとただ物語りをつらつらと読み進めるだけになってしまう。三人の少女だけでなく、大学の先輩後輩関係である担任と副担任が絡んでくるのは面白かったが。

■ストーリー

自殺した奈美が教えてくれた伝説の雫の話。川をどこまでも上流に登っていくと、岩の間から水が湧き出している。その何も混じっていないきれいな水を、みんなで飲めば友情は永遠に…。さよならも言わずに逝ってしまった友の思い出を胸に、わたし、真琴、理沙の三人は「永遠の友情」を求めて冒険の旅に出た。

■感想
キャラクターの個性でいうと、三人の少女や自殺した奈美よりも二人の教師の方がキャラ立ちしていた。メインの冒険物の中に入りこむ二人の教師の関係の方が最後には興味をひかれてしまった。本作自体が”わたし”の独白小説であるせいなのかもしれないが場面があちこち変わり、一人称でありながら神様目線で語られているので違和感を感じたのも確かだ。

スタンド・バイ・ミーほどわくわくドキドキはしない。しかしこの年代の少女ならではの、なんだかよくわからない感情というものが良く表現されていると思った。他人から考えると、なんでそこまで深刻に考えるのかわからなかったり。なんで急にテンションが上がったり下がったりするのかわからなかったり。
思春期独特の不安定さというものはものすごく感じることができた。

本作自体が脚本の後に小説化されたものであるせいか、ラストの場面はまさに映像にするにはうってつけの場面となっている。薄暗い森の中で一筋の光が差し込み、キラキラと輝く雫をすくい取る三人の少女。本作の映画版を見たことはないのだがすばらしい映像になっていたことだろう。

同年代の少女が読めば、感化され多大な影響を受けるだろう。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
*yahoo.co.jp