卒業-雪月花殺人ゲーム 東野圭吾


2005.7.24 トリックが異様に難しい 【卒業-雪月花殺人ゲーム】

                     
■ヒトコト感想
平凡ななんでもないミステリーであり、作者としてはどこか人とは違う
ミステリーにしたかったのか、トリックが異様に難しい
茶道を絡めているのだが、馴染みが無いために物語にのめり込むことが
できなかった。
多数の東野作品に登場する加賀刑事の初出演作品ということだけが
本作の魅力なのかもしれない。

■ストーリー
7人の大学4年生が秋を迎え、就職、恋愛に忙しい季節。ある日、祥子が自室で死んだ。
部屋は密室、自殺か、他殺か?心やさしき大学生名探偵・加賀恭一郎は、
祥子が残した日記を手掛りに死の謎を追求する。
しかし、第2の事件はさらに異常なものだった。
茶道の作法の中に秘められた殺人ゲームの真相は!?

■感想
加賀刑事の学生時代。はたしてこんな学生がいるのだろうか、
ものすごい古風で実直な性格であり、それでいて恋愛観はなんかよくわからない。
かっこつけてるようでもあり、ただ単に女に免疫がないようでもある
そんな加賀とその友達が事件に巻き込まれるのだが、どうにもその周りの人物達に
リアリティを感じることができない。表面だけの薄っぺらな印象を受けた。

トリックが難し過ぎるというのも物語に入り込めない原因なのだろう。
ただでさえ茶道という馴染みのないものをテーマとしているのに
雪月花式という一般人には到底馴染みのないものを使っているのは
どうしても納得できなかった。
それが本作の個性であると言われてしまったらどうしようもないのだが。

違和感を感じたところはそこだけでなく、加賀が推理をするのだが
その推理を展開する理由も納得できなかった。到底関係するとは思えないことから
推理し詳細まで完全に推理し続けることがあまりにも現実離れしすぎていると
感じてしまった。読んでいても地に足が着いていないような感じであった。

唯一良かったところは加賀の学生時代の物語であり、刑事になるための下地が
このころすでにできあがっていたということが分かったところか。

初期の頃の作品の為、最近の作品と比べるとどうしても見劣りしてしまうが
リアルタイムで読んでたらまた印象も変わっていたのかもしれない。




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