2005.10.14 ええ、また密室です 【詩的私的ジャック】
■ヒトコト感想
「また密室か~~」というのが第一印象だ。
森博詞作品を読み続けこうも立て続けに密室が続くと正直ちょっとうんざりしてきた。
作者の専門であるセメント工学をうまく用いてトリックにしているようで、確かにイメージはできるのだが
現実的に考えることはできなかった。
切り裂きジャックを連想させる事件なのだが、ふたを開けてみるとほとんど関係がなかった。
相変わらずさらっと読めるのだが、ちょっと消化不良の印象をうけた。
■ストーリー
死体に残された傷は何を意味するのか!?
大学施設で女子大生が連続して殺された。現場は密室状態で死体には文字状の傷が残されていた。
捜査線上に浮かんだのはロック歌手の結城稔。
被害者と面識があった上、事件と彼の歌詞が似ていたのだ。
N大学工学部助教授・犀川創平とお嬢様学生・西之園萌絵が、
明敏な知性を駆使して事件の構造を解体する!
■感想
森作品が密室ばかりなのはこの際特に触れるべき事ではないだろうが
専門家から見ると既存の密室トリックには不自然なところがありすぎるという気持ちから
自分で書いてやろうと思ったのだろうか??それにしても密室トリックばかりだ。
前の作品から少しづつ感じていた印象なのだが、動機がどうも曖昧すぎる。
しかし、それも気にならない程物語の流れで読ませていたようなのだが、
さすがに今回はちょっと動機の面であまりに不自然すぎるという印象を受けてしまった。
今までの作品のように際だった天才などではなく、一般人ということでなおさらそれを感じてしまった。
動機以外のところで読ませていると言われればそうかもしれないが・・・。
さらに今回は今までと違って特に理系という印象は受けなかった。
その理由は恐らく、作品中犀川が中国出張に行っており、物語を推理する役目が萌絵だけになってしまい
理詰めで推理する場面がすくなかったからだろう。
そのへんが面白さが半減した理由なのかもしれない。中国出張は物語に一切関係ないので
恐らく萌絵一人で推理させたかったのだろう。
トリックと動機以外はいつも通り犀川と萌絵の関係は面白く描かれている。
回を重ねる毎にだんだんと二人の関係に変化が現れているのもまた興味深いところだ。
このシリーズは続けて読まないと面白みがないと言われていたので、それを律儀に守りながら
順番に読んだ甲斐があるというものだ。
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