サイドウェイ


 2007.9.19 おいしいワインが飲みたくなる 【サイドウェイ】  

                     

評価:3

■ヒトコト感想
恋に奥手な中年ワインオタク。実はこのワインオタクというのがとてもいい味をだしている。本作のストーリーに、ワインオタクである必要はまったくない。禿げてメタボリック気味な中年男性というイメージだけであれば、本作がこれほどさわやかな作品にはならなかっただろう。物語の本筋にあるのはジャックやマヤとの関係であり、ワインはほんの味付けにすぎない。しかし、行く先々でワインをおいしそうに飲む映像を見ていると、伝説のワインを求めたロードムービーのように思えてきた。中年とワイン。日本人であれば違和感ありまくりだろう。

■ストーリー

小説家志望の中年の国語教師マイルスと親友ジャックは、旅先のレストランで美人のマヤと出会う。調子のいいジャックは婚約者がいるのにナンパした女性とうまくやっているが、結婚に破れ、小説家の夢もどうなるかわからない、何もかもうまくいかないマイルスは、マヤにひかれつつも一歩が踏み出せずにいた。

■感想
結婚前に最後の羽目を外す旅。行く先々で出会う人々やワイン。そしてジャックの見境のない女あさり。恋に奥手な中年が、一歩を踏み出すことができずに自棄酒に走る。この自棄酒がワインであるところが、妙におしゃれに感じてしまう。ワイナリィーでワインの薀蓄をふりまきながらグラスを傾ける姿は、たとえハゲて腹が出ていようとも絵になるものだ。

本作の特徴として、ワインオタクがそれほど嫌なものとしては描かれていないということだ。どんなに薀蓄をふりまいたり、得意げにワインを語ろうとも、周りの人間はそれに対して興味深そうに耳を傾ける。そして、出会うのは同じようにワインに対してぞうしの深いセクシーな女性となっている。ビールや日本酒や焼酎ではなく、ワインということにこの作品の意義があるのだろう。

人生どんなに辛く悲しいことがあっても、
おいしいワインさえあればすべてOK.まるで中学生のように奥手な中年が、モンモンとすごす旅の中では楽しいことよりも辛いことの方が多かったのだろう。しかし、そんな時もおいしいワインを飲んで元気をだし、明日への活力をみなぎらせる。力の入った、何か教訓じみた作品というわけではない。ただ、のんびりとワインを飲みながら見るのが正しい見方かもしれない。

なんだかおいしいワインが無性に飲みたくなった。



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