幸せのちから


2007.3.10 どこまで頑張れるか 【幸せのちから】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
金があれば幸せになれるとは限らない。しかし一つの要素であることは間違いない。しがないセールスマンが証券会社の社員となるまでのアメリカンドリームと言えなくもないが、現実はそんなに美しいものではなかった。成功する人にはそれなりの理由がある。本作で言えば、もともと努力家で頭がよかったこと。さらにはあきらめず粘り強いこと。駅のトイレで幼子を抱えながら眠るようなシチュエーションであれば、普通の人ならば何もかも嫌になって投げ出してしまうだろう。ウィル・スミスとその息子。さすがに本当の親子だけあって、その繋がりの強さを随所に感じることができた。

■ストーリー

1981年、サンフランシスコ。新型医療機器のセールスマンのクリスは妻と息子クリストファーの3人暮らし。しかし、家計は火の車。そんな生活に嫌気がさした妻は出ていってしまった。クリスは成功を夢見て証券会社の養成コースを受講することにする。正社員になり安定した生活を送りたい。しかし、研修中は無収入。彼は土日を使ってセールスに励むが、アパートは追い出され、挙げ句の果てには駅のトイレで寝泊まりするまで生活は落ちていく…。

■感想
証券会社の正社員となったところで、すべてがうまくいくはずもない。本当に大変なのはそれからのはずだが、そこで物語は終わっている。結局本作が言いたかったのは幸せになるためにはある程度の金が必要だ。しかしその安定した環境を手に入れるまでが重要で、それからは語るべきことではないのだろう。今までの苦労に比べれば証券会社の正社員になってからなどはどうということはないのか。確かにそううなづけるほどの苦労はしている。

自分一人であればどんな辛い境遇でもそれなりに頑張ることはできるだろう。しかし幼子を抱えながら安定した生活を手に入れるために頑張れるか。部屋を追い出され駅のトイレに泊り込む。そしてしつこいくらいに新型医療機器のセールスに打ち込む。普通ならば途中でくじけて、子どもを含め、すべてを投げ出したくなるだろう。何もかもがうまくいかない時期には自暴自棄にもなるだろう。本作のクリスの我慢強さ。それは
成功者に通じるものなのかもしれない。

本作が実話ということで、多少脚色されているとはいえ、これがアメリカンドリームなのだろう。もともと頭が良いというのと、努力家だということ。誰もが運だけでのし上がれるということではない。非現実的ではない部分も好感がもてる。クリスの必死に働く姿は、サラリーマンという安定した生活にいる者に対して何か啓発的なものを啓示しているような気がする。

幸せになる要素として金がどれだけの割合を占めているのか。人によるだろうが、決して金だけではない別の大きな何かが必要なのだろう。本作はそれを気づかせてくれたような気がする。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp