シューテム・アップ


2008.7.16 ぶっ飛ぶ弾丸! 【シューテム・アップ】 HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
銃撃戦とニンジンだ。印象を聞かれたら、こう答えるしかない。ストーリーなんてどうでもいい。ただ、あの激しく、そして、ありえないような銃撃戦を楽しむべきだろう。小難しい設定やストーリー、さらにはキャラクターも必要ない。ただ、激しい銃撃戦を繰り広げるだけ。アクロバティックで予想外な動きをし、終いにはニンジンさえも武器にする。冒頭から、生まれたばかりの赤ちゃんを取り出すあたりで、すでに只者ではないという雰囲気は漂っていたが…、やはりとんでもない作品だった。あまりにぶっ飛んでいるので、ストーリーはほとんど覚えていない。ぶっ飛び具合もここまで極めると、それが売りになり、面白くなってくるから不思議だ。

■ストーリー

深夜、NYの裏通り。謎の男に追われる妊婦を見たスミスは、いきがかりから彼女を助けた。しかしそこに男の仲間らしき者たちが乱入し、事態は銃撃戦に発展。そんな中妊婦から赤ちゃんを取り上げたスミスは、流れ弾で死んだ母親の代わりに子どもを抱えて逃走。すると男たちは、今度は子どもを奪うためにスミスに襲い掛かった。子どもが狙われる理由がわからないまま、スミスは娼婦ドンナのもとへと逃げ込むが……。

■感想
指紋認証の拳銃で本人以外はその拳銃を使用できないという巧みな制約条件をつけて、スミスを困らせる。そこでスミスのとった行動は…。ニンジンを相手に目に突き刺すという驚きの攻撃方法だ。銃撃戦の最中に母親から赤ちゃんを取り出すという行動もそうだが、常識を超えた行動が多い。アドレナリンでまくりで、見ている方もその行動に不自然さを感じなくなるからこれまた不思議だ。敵のボス的人物がヘマをした仲間をあっさりと殺したり、死体はゴロゴロ、血はドバドバと激しく噴出すのだが、目を背けたくなるような場面ではない。もうすでに、登場人物たちには人格というものが存在していない。ただ、やられるためだけに登場したように思えてくる。

オイルで滑りながら、車の下にもぐりこみ、拳銃をぶっ放す。それも二丁持ちながら乱れ撃ちだ。赤ちゃんを背中に背負いながら逃げ惑い、そして撃ちまくる。その姿は非常にほほえましいのだが、やってることはとんでもないことばかりだ。乱れ飛ぶ銃弾の雨あられ。決して死なないスミス。意表をつくニンジンでの攻撃。娼婦とくんずほぐれずの最中に敵に襲われても、慌てることなく、回転しながら敵を撃ち殺していく。最後にはキッチリと自分の仕事も終えている。はっきり言えば、コメディ以外のなにものでもない場面だ。

監督は冒頭のオイルで滑る場面を撮りたいがために、本作を作ったらしい。その気持ちは十分に伝わってくるほど、ストーリーや設定は二の次となっている。面白場面や、ひねりの利いたセリフは登場するが、キャラクターの印象はない。ニンジンが好きだというくらいだろうか。

ぶっ飛びすぎていて、なんていっていいのかわからないのが素直な感想だ。しかし、ここまで突き詰めると、どんな作品でも面白いものになるのだということがわかった。



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