青春の門 放浪篇


2006.9.26 これが若さゆえの勢い 【青春の門 放浪篇】

                     
■ヒトコト感想
気心の知れた仲間と共に旅をするのは楽しくもあり、この時期独特の自由からくる開放感なのだろう。権力に対して仲間と協力して立ち向かっていく。一人ではできないことでも仲間と協力すればできるような気がしてくる。まさに集団だからこそできることなのだろう。食べていくのに精一杯な旅の中で、信介たちは何を得ることができたのだろうか。青春時代だからこそできることをやりながらも、信介の心はまだ満たされていないような気がする。青春時代独特の何をしたいのか、何を目指しているのか分からずに放浪している雰囲気も感じることができた。

■ストーリー

末知の世界を求めて東京を旅立った伊吹信介。演劇への志に結ばれた仲間とともに冬の海峡を越えた信介は、いま函館に。若者のまえに立ちはだかる巨大な港の暴力。北国の街に青春の意味を模索する放浪の群像。彼らにはいったい何ができるのか?

■感想
人生の中で青春時代というのはある意味何をしても許される時期だと思っている。演劇のネタを仕入れるために貧乏旅行をするもよし、滞在先で地元のやくざともめるのもよし。そんな何でもありな勢いを感じてしまった。普通に考えると東京に住んでいれば何不自由なく暮らすことができたはずなのに、あえて仲間達と共に貧乏旅行に足を踏み入れる。

この青春の門という作品は全体を通して、常に女が密接に関わっている。女抜きに青春は語れないのは分かる。そう考えると仲間どうしでの貧乏旅行で男女が一緒になれば、中にはカップルが誕生するのも自然なことなのだろう。青春というのはいったい何なのか。今読むとこれが青春とは思わないが、昔ならではの良さというものが十分表現されていると思う。

今の時代と比較してはいけないが、今青春時代をすごしている人で、本作のような貧乏旅行を好んでしようと思う人は少ないだろう。一部いるかもしれないが、本作自体がその一部の特別な人を描いたものではなく、その時代にはこんなことはわりと普通なことなのかもしれない。

相対的に考えると、昔と今とでは明らかに豊かになっているが、若者の心と情熱はもしかしたら冷めているのかもしれない。



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