殺人現場は雲の上 東野圭吾


2005.9.10 凸凹スッチーコンビ 【殺人現場は雲の上】

                     
■ヒトコト感想
スチュワーデスコンビがエー子とビー子というふざけた名前を付けているのだが
キャラクターに特徴があり、無茶な推理をするわけではなく日常的に考えられることから
事件を解決に導いているので、不自然さを感じることはない。
短編集なので、1つ1つがさらりと読め、複雑なトリックや人間関係があるわけではないので
電車の中など短時間に1話を読み切るには最適の作品だ。

■ストーリー
新日本航空の花のスチュワーデス、通称・エー子とビー子。
同期入社でルームメイトという誰もが知る仲よしコンビ。
容姿と性格にはかなり差がある凸凹コンビではあるけれど…。
この二人が奇妙な事件に遭遇する。昼間、乗務中にお世話した男の妻が、
自動ロックのホテルの室内で殺害されたのだ。
雲をつかむような難事件の謎に挑む二人の推理はいかに?

■感想
起こる事件が、悲惨な殺人事件や怨恨からの殺人というようなドロドロした事件ではなく
日常からちょっと逸脱した事件で、それほど深刻に考えなくても良く
気楽に読むことができる。

スチュワーデス(今はキャビンアテンダント)ならではの事件がいくつかあり
それを旨く利用しているので、普通の推理小説との差別化を図っている。
物語は短編なので長編に比べるとどうしても内容が稀薄な印象をうけてしまうが
その分いろいろなパターンの事件を読むことができるのである意味お得かもしれない。

スチュワーデスの仕事ぶりがどんなものかはある程度想像できていたのだが
それと別段変わらない仕事内容だったので、そこはちょっと不満かもしれない。
どうせなら、一般人は知るよしもないスチュワーデスに取材することによって
始めて分かる、読者がビックリするような仕事などを事件に絡めてほしかった。

時代が時代だけにバブル全盛のころの香りをただよわせている
現在の東野作品と比べると、社会性があまり感じられずその時のブームに乗っかる形で
作られたのかもしれない。

時代、時代に対応した作品を作るのは当然のことだが、後になってその作品を読んだ時
突拍子もなく感じることがないような作品を書けるのはある意味作者の力量でもあるし、
本作に関して言えば個性が無い、無難な作品と言えなくもない。




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