さいえんす? 東野圭吾


2006.4.17 理系だけが感じること 【さいえんす?】

                     
■ヒトコト感想
僕自身理系であるが小難しいことは勘弁してほしい。東野圭吾作ということで科学技術エッセイといえども読みやすくなっていると予想した。理系であるがゆえに一般人に分かりやすいように難しい話を噛み砕いてあるので非常に読みやすかった。技術書を丸写しして得意げになっているその辺の作家よりも何倍も読者に優しい。すべてのエッセイで述べられていることに共感できるわけではないが、ひとつの意見として読むぶんには十分楽しめる。

■ストーリー

「こいつ、俺に気があるんじゃないか」―女性が隣に座っただけで、男はなぜこんな誤解をしてしまうのか?男女の恋愛問題から、ダイエットブームへの提言、野球人気を復活させるための画期的な改革案、さらには図書館利用者へのお願いまで。俗物作家ヒガシノが独自の視点で綴る。

■感想
およそ2年前に連載された作品なので、当時の世相を反映しているようなエッセイだ。当時を思い出しながら読み進め、結果として今現在読むと間違っていることや正しいことなどいろいろとある。しかしそれらを含めて作者の科学技術に関するスタンスが明確になっているので読んでいて非常に楽しく読むことができた。

小説を読むときに、そのトリックや内容が科学に則していないからといって、それほど気になったりはしないのだがそこは同じ小説家として気になるらしい。僕自身も理系の端くれとしてそれなりに専門分野というものをもってはいるが、今まで小説を読んで強烈に違和感を感じるような作品にであったことがない。これは僕の中で小説は虚構なものとして意識しているので気にならないのかもしれない。

様々なテーマに沿ってエッセイが書かれているのだが、もっとも印象に残ったのはやはり一般的な理系のイメージについて書かれている回だ。作者は会社員として働きならが小説家となり、その際に文型の人間が理系の研究者の給料がどれだけのものかまったく勘違いしていたというくだり。確かに一般的には理系の研究職は給料が高く見られがちなのだろう。今まで親戚達が僕のことを高級取りと思っていたのは、同じような勘違いなのだろう。

小難しい科学技術の本を丸写ししたようなものではなく、作者の言葉で噛み砕かれているので非常に理解しやすい作品だ。




おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp