2006.11.27 泣かせようと必死だ 【サッド・ムービー】
評価:3
■ヒトコト感想
泣かせようとするのが見え見えであればあるほど、観衆は醒めてしまう。4つの物語が同時進行し最後にはそれぞれ辛い別れが待っている。中には確かにウルっとくるものもあるが、あまりに泣きを強要しすぎるので、すぐに醒めてしまった。強引なまでの展開とあまりに不自然な振る舞い。そして極めつけは泣き顔のアップをしつこいくらいに多様する。泣き顔を見て、共感して泣けと言わんばかりの強引さ。最初から泣く気満々であれば気にならないかもしれないが、物語としてあまりに不自然な部分が多いので僕は冷めた目で見てしまった。
■ストーリー
消防士とニュース番組の手話キャスターとして働く女性、聴覚障害者の女性とその彼女がアルバイトをする遊園地に毎日やって来る似顔絵描きの青年、3年間無職の生活を続ける青年とスーパーのレジのパートタイマーの女性、キャリア・ウーマンとして働く母親とその息子という4組のカップルが織り成す様々な別れのスタイルを描いている。
■感想
4つのエピソードの中で感情移入できるものがあれば、それなりに泣けるのかもしれない。それぞれがかなり特殊な状況ではあるがある程度共感できるのかもしれない。3組の若いカップルの話はそうでもないが、母親と息子の話は一番泣き所が多かったのではないだろうか。ストーリー的にも一番まともでしっかりしていると思った。集中的にこのエピソードを続けられれば、もしかしたら泣きそうになったかもしれない。同時進行していく関係上、他カップルの話が出てくるとその勢いも冷めてしまった。
一番気になったのは本作のメインである消防士と手話キャスターの話だ。なんだか見ていると全身が痒くなるような話であり、これが韓流ドラマの王道なのかもしれない。極めつけは最後の場面だ。確かに作品的には最後の映像が必要だったのだろう、しかしどう考えても最後の消防士の行動には納得できなかった。本来なら一番感動する場面のはずだが、「そりゃないだろ」という突っ込みの感情しかわいてこなかった。
タイトルどおり泣こうと思えば無理矢理泣ける。特に子供のエピソードは別れと言っても他の3組とは質が違い、恋愛感情が絡んでいないので、純粋に泣けるかもしれない。そのほかのエピソードはそれなりに作りこまれているのに泣けない。不自然さや違和感を感じるが、最後の別れのシーンでも感動が訪れないのはどこかに欠陥があるのだろう。作品に入り込めないのが一番の原因だと思うが、これは好みの問題なのだろうか。
もしかしたら感動して泣けたという人はいっぱいいるのかもしれない。しかし僕にはまったく合わなかった。
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