2007.5.31 成功、没落、そして寂しさ 【ロード・オブ・ドッグタウン】
評価:3
■ヒトコト感想
スラム出身の若者たちがスケボーでのし上がっていく。有名になり始めると、便乗しようと周りに人がよってきて環境が激変する。しまいには昔の仲間とも疎遠になり…。ある意味定番の流れだが、本作は実話をベースにしているためリアル感がある。それぞれ自分の長所を知った上でそれぞれの道へ進む。これも定番だが、いつか没落の日がやってくる。映画的に何か劇的なことがあるわけではなく、自然とばらばらになっていくさまはまさに実話ベースならではだ。ただ、最後は言いようのない寂しさがこみ上げてくる。
■ストーリー
1970年代のカリフォルニアで、スケートボードの名手となった若者たち。「Z-BOYS」として全米でも人気となったステイシーら3人の青春を痛快かつホロ苦いタッチで描く。それぞれのプライドから、スポンサーとの契約を結ぶ者、ひたすらスケボーの技を磨く者と、Z-BOYSの道は分かれていく。
■感想
スケボーで一躍全米の人気者になり、金が手に入りなんでもすき放題できる。スラム出身の若者が大金を手に入れると、誰もが想像するような悪い方向に進んでしまう。そして、うまい汁を吸おうとする人々が群がってくる。まさに典型的なパターンだ。
ある者は家族のため、ある者は自分の欲望のため、そしてある者は自分の力を示すため。さまざまな理由があるにせよ、一番印象に残っているのは若者たちではなく、その若者を見出し売り出したサーフボードショップの男だ。自分が発掘した若者たちを、後から来た者達に奪われていく。普通ならば激怒するところが、怒りの矛先をどこに向けていいのかわからず無軌道になる。なんだかこの男だけは、典型的なパターンにはまる男ではなく本作の物悲しさをかもし出す原因なのかもしれない。
それぞれの道を歩みながら、同窓会さながらに昔の仲間達と集まる。皆がみな大成功しているわけではない。サーフボードショップの男は落ちぶれ、仲間の一人は病気になる…。落ちぶれながらも昔の仲間と楽しくスケボーをやる姿は、悲しさの極みだ。誰が悪いわけでもなく、誰が正しいわけでもない、ただなるべくしてなったのだが、実話ベースということで悲しさも倍増してしまう。
スケボーというツールが変わっただけで、どこにでもある話しだが、リアルなだけに心に残る。
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