2005.12.10 森作品の中で1,2を争うできだ 【恋恋蓮歩の演習】
														
														
														
                                 
      
															■ヒトコト感想
														今まで読んだ森作品の中では1,2を争う面白さかもしれない。
														好みはいろいろとあると思うが、僕の場合は保呂草というキャラクターがかなりお気に入りなので
														彼が思う存分活躍する本作はとても楽しく読むことができた。
														前作との続きものといってもいいだろう、その中でも鍵を握る女、各務も謎めいており、
														保呂草との化かしあいも魅力のひとつだ。
														事件が起こるまでの前半がたいくつだと思うかもしれないが、
														この前半があってこそ最後のオチを存分に生かすことができ、最後にすばらしい余韻を残してくれる。
														事件のトリック云々よりも、キャラクターの個性と全体の雰囲気がとても好きだ。
														
														■ストーリー
														航海中の豪華客船 完全密室から人間消失
														世界一周中の豪華客船ヒミコ号に持ち込まれた天才画家・関根朔太(せきねさくた)の自画像を巡る陰謀。
														仕事のためその客船に乗り込んだ保呂草(ほろくさ)と紫子(むらさきこ)、
														無賃乗船した紅子と練無(ねりな)は、完全密室たる航海中の船内で男性客の奇妙な消失事件に遭遇する。
														交錯する謎、ロマンティックな罠、スリリングに深まるVシリーズ長編第6作!
														
														■感想
														前作である魔剣天翔を読まずに本作を読むと、面白さは半減するだろう。
														前回からの保呂草と各務のやりとりや、保呂草の行動を分かっていたうえで読まないと
														かなり受ける印象も違うかもしれない。
														このVシリーズは紅子が主役であり、今までの作品ではおいしいところは全て紅子にとられていたのだが、
														まあ、今回もそれに近いが、事件の解決よりもその過程で大活躍する保呂草は
														さながらルパンのようにも思えた。
														
														前半は事件が起こる一ヶ月前から始まるのだが、この部分を冗長と感じるかどうかで
														面白さの度合いが異なるかもしれない。基本的にはなんてことない恋愛話なのだろうが、
														そこを印象付けることによって結末のオチに対する印象も変わってくる。
														最後の落ちを読んで、怒りを覚えた人もいるかもしれないが、僕は逆にちょっと感動すらしてしまった。
														保呂草らしい終わり方とも言える。
														
														本作はまさしく保呂草という人物に対してどんな感情を抱くかによって面白さも変わってくるだろう。
														僕はこのシリーズが始まったときから保呂草というキャラクターに魅力を感じ、
														初期ではそれほど活躍することがなかったのだがここにきてかなり大活躍をしている。
														
														どこか裏があり、底が知れない人物であり、それでいて紅子達にはあくまで普通に接している。
														決してご都合主義で絶対に死なない、捕まらないというようなキャラではなく、
														常に危険と隣り合わせだというのもよい。
														その保呂草というキャラクターの魅力が存分に発揮されている作品であり、
														個人的には今まで読んだ森作品の中では1,2を争うできだと思う。
														
														森作品には珍しく前半部分が恋愛物なので、それだけで拒否反応を示す人もいるかもしれないが
														あきらめずに最後まで読めばきっとすばらしい驚きと感動がまっていることだろう。
															
            
            
            
          
              
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