リアルワールド 


2006.4.25 リアルな夏の暑さ 【リアルワールド】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
夏の暑さをものすごく感じた。べとつく汗とけだるさ。そこだけがものすごくリアルで、登場人物達のだれ一人としてリアルさを感じることができなかった。現実に居そうというリアルではなく登場人物達のリアルな気持ちを実感できた。ミミズやキラリン、ユウザンやテラウチにくらべてホリニンナの平凡さ。これもリアルだ。感情移入はできないが、他人の出来事として客観的に見ると変にリアルに感じてしまう。

■ストーリー

高校三年の夏休み、隣家の少年が母親を撲殺して逃走。ホリニンナこと山中十四子は、携帯電話を通して、逃げる少年ミミズとつながる。そしてテラウチ、ユウザン、キラリン、同じ高校にかよう4人の少女たちが、ミミズの逃亡に関わることに。遊び半分ではじまった冒険が、取り返しのつかない結末を迎える。

■感想
あー、こんな事って普通に起こりそうだなー。自分では到底理解できないが現実には似たようなことがあちこちで起こっているのかもしれない。登場人物達それぞれが個性ありすぎで、一筋縄ではいかない人生を歩んでいるのだが、それは物語を面白くするためのものだ。もしそれがなくとも今回のような逃亡劇は起こりかねないと思った。

危険なものに触りたい気分。やってはいけないと言われるとよけいやりたくなる。制限されればされるほどそれが魅力的に感じてしまう。買おうとして買えなければよけいにほしくなる。そんな気持ちと、高校生の時期独特の
自分は特別だという意識。何か他人とは違う特別なものを持っているといううぬぼれ。それを持ち続けることがこの時代の特権だと思い出した。

衝動的な勢いをものすごく感じるが、それを後悔しているそぶりがまったくない。順調にいけばそれなりに平凡な暮らしができた者たちも、平凡な暮らしに未練を感じていない。この世代だから違和感なく読むことができるが、これが成人した人物達ならばただのDQNに感じるだけだろう。

本作をリアル高校生が読めばそれなりに感化されるのだろうか。おそらくは現実の高校生たちは自分たちのことをよりリアルに考え、現実をわかっているような気がする。



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