ランボー最後の戦場


2008.5.31 還暦を越えたこの肉体 【ランボー 最後の戦場】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
今までこのシリーズは見たことがない。始めて見るランボーが最後の戦場。シリーズを見ていれば、より楽しめるのだろうが、まったくの初心者であっても十分に楽しめる作品だ。ただ、驚いたのはこれほど残酷で、グロテスクで容赦ない作品だとは思わなかった。下手したらそこらのホラー映画並みにスプラッターな描写が続いている。圧倒的なまでの武力で罪の無い人々を虐殺する軍に対して、これまた圧倒的な個の力で軍を粉砕する。ある意味、予定調和的だが、わかっていてもワクワクする。悪が残酷であればあるほど、ランボーを応援する気持ちは強くなる。強烈なカタルシスを得ることができる作品だ。

■ストーリー

タイ北部の山の中で孤独な日々を送っているジョン・ランボーのもとに、少数民族を支援するキリスト教支援団体の女性・サラが彼の前に現れる。彼らは軍事独裁政権による迫害が続く隣国ミャンマーの窮状を憂い、医療品を届けようとしていた。その情熱に打たれ、頼みを受けて目的地の村まで送り届けるランボー。本拠地に戻った彼に届いたのは、サラたちが軍に拉致されたとの報せだった。救出のために雇われた最新装備に身を固めた傭兵部隊5人に、手製のナイフと、弓矢を手にした一人の戦士。戦場への帰還を決意したランボーだった…!

■感想
シリーズの流れとして、戦いに疲れたランボーは山奥でひっそりと暮らしていたということなのだろう。戦場に復帰するきっかけであったり、なぜタイの山奥なのかというのは、正直良くわからなかった。ただ、そんな些細なことはどうでもいい。すでに還暦を迎えた肉体とは思えないほど、盛り上がった筋肉を駆使して敵を倒しまくる。素手で兵士を殺せる六十歳など、この世に存在するのだろうか。いや、ランボーなら十分にありえるだろう。近代的な兵器の中で、ランボーの代名詞と言っても良い弓矢で戦うのもファンにはうれしい場面かもしれない。

目的が何なのか、ただ、村人たちを無差別に虐殺し、子供さえも容赦なく殺していく。本作の中で圧倒的な悪役である軍は、目を背けたくなるほどの行為を平然とやってのける。首がとび、泣き叫ぶ子供を撃ち殺し、腕や足が千切れ飛ぶ。正直ここまで直接的に表現しているとは思わなかった。圧倒的な暴力描写と、悪に対してはまったく正当な理由が見出せないほど、徹底的に嫌悪感を抱かせようとしている。それはもちろん、最後にやってくるランボーの正当性をアピールするためだろう。

ランボーは基本、孤高の戦士かと思いきや、本作では優秀な傭兵が仲間となって戦っている。特に、この傭兵たちが、軍とは対極にあるように、まさに絵に描いたような素晴らしい傭兵たちだ。人質を助け、仲間を敬い、協力し、任務を遂行する。ランボーを身を挺して助け、仲間のために犠牲にもなる。これほどはっきりと善悪を示されると、もはや何もいえない。後は、軍をコテンパンに打ちのめす様をランボーの豪快さと共に堪能すべきだろう。今までのストレスが全て吹き飛ぶような圧倒的な制圧劇だ。

初めてランボーを見たのだが、これほど直接的な残酷描写が多いとは思わなかった。内容よりも、それに一番驚いた。



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