λに歯がない 森博嗣


2006.11.4 Gシリーズにしてはまともだ 【λに歯がない】

                     
■ヒトコト感想
皮肉にも一連のGシリーズとは離れた立場にある本作が一番まともな印象を持たせる作品となっているようだ。今までのGシリーズにありがちな、最後まで結末をぼやかしたまま終わるということがなく、きっちりと犯人を明言しそして動機まで示している。ある程度納得できる結果で本作一つで完結しているのも好感が持てる。読む前には今までのGシリーズの印象からあまり期待はしていなかったが良い意味で期待を裏切られた。シリーズの中休み的作品なのだろうか。

■ストーリー

密室状態の研究所で発見された身元不明の4人の銃殺体。それぞれのポケットには「λに歯がない」と記されたカード。そして死体には…歯がなかった。4人の被害者の関係、「φ」からはじまる一連の事件との関連、犯人の脱出経路―すべて不明。事件を推理する西之園萌絵は、自ら封印していた過去と対峙することになる。

■感想
自殺がテーマとなっている。被害者達が自殺ではないのかという流れからくることなのだが、なんだか今更という感じはする。とうの昔から密室殺人は起きており、その際に自殺ではないかという議論があってもいいはずなのに、なぜ今更なのか。そこは作者の気まぐれなのか、それともこのGシリーズの伏線なのか。本シリーズの特徴は伏線が登場してもそれがいつ活かされるかまったくわからないということだ。下手すると別シリーズで急に登場してくるので油断ならない。

謎めいた登場人物達。伏線的には本作は随分登場する。新たに怪しげな人物も登場し、本作が中休み的な作品でありながらも重要な位置を占めているのがわかる。しかし相変わらず印象に残っているのは旧シリーズから引き続きの萌絵や犀川、そして保呂草だ。Gシリーズ独自の登場人物はこの時期になってもまだまだ定着していない。特徴的なイメージがまったくわかないのだ。これではGシリーズの色が出せないような気がしてならない。

事件は相変わらず謎めいて、そして密室だ。今回は殺人方法も奇妙でなんとなく過去の森作品に戻ったような気もする。そして本作ではきっちりとその謎を解き明かし、動機までもはっきりと表現している。全てに納得いくかというとそうではないが、筋は通っている。不思議な事件に、謎の密室。そしてある程度予想はできるが意外な真実。まあ、ミステリーの王道かもしれないが、盛り上げるだけ盛り上げてつづく・・・。と言われるよりは随分とましな気がする。

このGシリーズもそろそろ全様が明らかになってもいい頃ではないのだろうか。



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