クイーン


2007.4.26 高感度アップのブレア首相 【クイーン】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
日本でのダイアナ妃のイメージはそれほど良いとは言えないだろう。それが、イギリスではこれほど国民に愛され、支持されていたことにまず驚いた。どちらかというと日本の皇室に近いイギリス王室。しかしマスコミに言いたい放題言われるのは日本の皇室とは違う部分だろう。50年もの間、王女として君臨してきたエリザベスの苦悩。長い歴史を守るのか、それとも王室の存続を守るのか。王室独特のしきたりや雰囲気を感じながら、やけにブレア首相がカッコよく描かれているのが気になった。

■ストーリー

1997年8月、パリでダイアナが交通事故に遭い、帰らぬ人になった。王家においてダイアナはいつも頭痛の種で、民間人となっていたダイアナの死は本来関係のないことであった。女王はコメントを避けるが、ダイアナを称える国民の声は次第に高まっていく。やがてダイアナの死を無視し続ける女王に、国民の非難が寄せられるようになる。若き首相ブレアは、国民と王室が離れていくことに危機を感じ、その和解に力を注いでいく。

■感想
主役は紛れもなくエリザベス女王だろう。実際のダイアナ妃の映像を効果的に挟み込みながら、王室の歴史としきたりにがんじがらめにされたエリザベス女王の苦悩を表現している。日本の天皇家とは違い、これほど国民との溝が深いのかという驚きと、マスコミに王室の尊厳がないに等しいほどこき下ろされる雰囲気。ある意味君主制をしいていながらも、その存在の曖昧さは日本の天皇家以上なのかもしれない。国民の四人に一人が王室に反対だということに一番驚いた。

ダイアナ妃が日本ではそれほど好意的に思われていないのとは対照的に、イギリスでは国民的アイドルだったのだろうか。裏を返せば、それだけ今までの王室が閉鎖的で表にでなかった証なのかもしれない。王室の理不尽さと世論、そして極めつけはブレア首相の説得。それら全てを加味し、ある決断を下すのだが、その結果を見るとイギリス王室もそれほど国民に嫌われていないのではないかと思えてくる。

本作は実在の人物に似た配役をしているのだが、秀逸はやはりブレア首相だろう。クイーンというタイトルながら準主役とも言えるこの
ブレア首相がかなりかっこいい。まず家庭での雰囲気が、どこにでもある普通の一般庶民のような雰囲気が好感がもてる。恐らく実際にもそうなのだろう。四人家族で朝食のテーブルを囲む姿は一国の首相とは思えないほど庶民的だった。

イギリス王室の苦労というのは他のどの国の人間よりも日本人は理解しやすいだろう。おそらく日本では本作のように天皇家を題材とした映画が作られるとは考えられない。それを考えるとイギリス王室はまだ寛大なのだろう。



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