Φは壊れたね 


2006.5.29 新シリーズのインパクトは・・ 【Φは壊れたね】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
新シリーズとしてのキャラクター紹介と前シリーズからのファンを喜ばせるために萌絵や犀川が登場している。キャラクターが魅力的かどうかで物語の成否がかかっている。本作は今のところ今までのシリーズと比べるとインパクトがないような気がする。ミステリー的にもわりとありきたりだし、トリックが解明したあとにそれに至った動機がまったく説明されないのも不満の原因かもしれない。森作品のファンとしてはまあこのシリーズも気長に読み続けるだろう。

■ストーリー

おもちゃ箱のように過剰に装飾されたマンションの一室に芸大生の宙吊り死体が!現場は密室状態。死体発見の一部始終は、室内に仕掛けられたビデオで録画されていた。D2大学院生、西之園萌絵が学生たちと事件の謎を追究する。

■感想
今までのシリーズと比べて多少”毒”のようなものや”驚き”が少ないように思えた。ショッキングな出来事やトリックをイメージしていたのだが、期待しすぎたばかりに裏切られたときのショックは大きい。映像としてイメージすると確かに衝撃的な殺人シーンはあるが、それは一時的なもので作品全体を通して、ちょっとテンションが低いように感じてしまった。

このシリーズではいったい誰が主役なのだろうか。犀川的な人物もいるが、どうもインパクトが足りない。他のキャラクターもこれといった特徴がなく、ごく普通の大学生に思えて仕方がない。S&Mシリーズの萌絵やVシリーズの保呂草のような登場人物がでてこない限り、物語が急激に面白くなるということはないのかもしれない。

ミステリーの結末として、しっかりとトリックを説明してくれるのは良い。それが事実かどうかはあえて示されてはいないが、まあそれも良しとしよう。しかしそんな手の込んだ仕掛けをした理由がほとんど説明されていない。はっきりとした動機が示されなければ納得できない部分もある。全体的な印象としてはこじんまりとまとまってはいるのだが、キャラクターのインパクトが頼りなく、トリックの奇抜さもイマイチのような気がした。

しかし、なんだかんだ言っても結局このシリーズもすべて読んでしまうのだろう。これが
ファンの悲しい性なのか。



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