パプリカ


2007.8.26 クオリティが高く、文句のないでき 【パプリカ】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
夢の中の世界を舞台にしたアニメ。日本の本領発揮というか、相変わらずこの手の作品の技術はすばらしい。映像のすばらしさもさることながら、アングルや動きなど日本の得意な部分が良くでている。ちょうど、筒井康隆原作といって思いだすのは、時をかける少女だ。本作も同じようにすばらしいと思う。時を~に比べると声優も大御所を使い、文句のないできとなっている。しかし、総合して考えると、特別心に残ることがない、ただのアニメーションという感想しか残らなかった。

■ストーリー

医療研究所が開発した他人と夢を共有できる画期的なテクノロジー“DCミニ”。だがそれが盗まれ、悪用して他人の夢に強制介入し、悪夢を見せ精神を崩壊させる事件が発生するように。一体、犯人の正体は? そして目的は何なのか? 事件の解明に挑む美人セラピストの千葉敦子は、クライアントの夢の中へ容姿も性格もまったく違う夢探偵“パプリカ”となって入っていくが、そこには恐ろしい罠が待ち受けていたのだった…。

■感想
他者の夢の中に入り込み、精神治療をする。夢に入り込むというのは、どこにでもある設定だろう。その夢を果たしてどのように表現するのか、それがこの手の作品のポイントだと思っている。アニメなので、どうとでもやりようがある。アニメ独特の手法で、吸い込まれる壁や、床など、夢ならではの演出を施している。確かにアニメでしか表現できない部分なのだろうが、もう少し何か特別なものがほしかった。夢と言われて誰もが思いつく、ありきたりな表現方法でしかない。

夢を操る黒幕が謎のまま進んでいく本作。この黒幕が誰かというミステリーな雰囲気もかもし出しているのだが、結論から言うと、あまりインパクトがない。この流れであれば想像できる黒幕であり、意外性はなかった。もっと根本的に得体のしれないものであれば、よりインパクトがあり、恐怖感もましていたことだろう。恐らく本作は黒幕の謎については、別にどうでもよく、夢と現実のハザマということを表現したかったのだろう。

夢と現実を自由に行き来する。誰もが夢見ることであり、それを実現してしまった本作。夢というのは現実世界と同じではなく、もっと形作るのが難しい、表現のしようがないものだと思っていた。それをアニメとして、まったく新しい形で表現していれば、さらに興味を引かれたことだろう。

アニメのクオリティは高く、声優の演技もすばらしい。非の打ち所のない作品だけに、
ストーリーの凡庸さが普通以上に気になってしまった。悪くはないが、よくもない。面白いのだが、心に残ることはない。一般的によくある作品になってしまったような気がする。



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