王妃の館 下 


2007.5.7 最後にはすべてが丸くおさまる 【王妃の館 下】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
ドタバタコメディと王妃の館に秘められた物語。光ツアーと影ツアーが微妙にシンクロし、そのツアーメンバーも実は繋がりがあった。一見ただのドタバタコメディかと思いきや、計算された展開が待っている。ただ、それぞれのツアーの繋がりは巧妙だが、その後あまりにもご都合主義的な流れになっているので、少しテンションが下がる部分ではある。しかし、最後にハッピーエンドで終わるのは気持ちがよい。ドタバタコメディとしてはあまり笑えなかった。

■ストーリー

ひと癖もふた癖もある「光」と「影」のツアーメンバーたちは、ドタバタ騒ぎとニアミスをくりかえしながらも、それぞれのパリの旅を楽しんでいた―かに思えたが、ついにツアーの二重売りがバレそうになって、さあ大変。さらに「王妃の館」に秘められた太陽王・ルイ十四世の愛の行方をからめて、物語は十七世紀と現代とを縦横無尽に駆けめぐる。

■感想
二重売りの片方。影ツアーにはすでに二重売りの説明がされているので、少し緊迫感は薄れてしまう。光、影両方のツアーでニアミスが続きながら、偶然も作用して、うまく二重生活が繰り広げられればまた違っただろう。影ツアーがツアーのカラクリを理解しながら協力していくのがまた普通とは違った流れなのだろう。ポイントとなるはずの売れっ子小説家と編集者たちの話も、さして面白い展開があるわけでもなく、ただ同室を使うというだけになってしまっている。

最終的には売れっ子小説家の新作小説がそれぞれのツアーのメンバーを繋げることとなる。作中では物語に感動し、ページをめくる手を緩めることができないというような描写となってはいるが、実際に読んでもそれほど感動するということはない。現実と、小説の中の世界が繰り返し表現され、その中で雰囲気が明らかに変わるルイ十四世の世界。感動を誘おうとしているが、すんなりと感動することができない。

ツアーメンバーそれぞれには悩みがある。まったく別の種類の悩みだが、最後には小説を読み終わるとすべてが解決したように前向きな気持ちになっている。悩みが解決する根本的な理由は一切不明だが、雰囲気と勢いですべてが丸くおさまっている。本作もその力を借りたように、読み終わると
すべての悩みが吹っ飛んでしまうようだ。

ドタバタコメディと感動小説。二つの面を持ち合わせておきながらも、最後はすべてが融合している。しかしコメディ部分はあまり笑えないのが難点かもしれない。



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