お父さんのバックドロップ


2005.11.16 コテコテの大阪弁でベタな展開 【お父さんのバックドロップ】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
ベタベタな展開。これぞまさしくベタ中のベタだ。しかし泣ける。
ベタな展開にも飽きることなく見ることができるのは、俳優の力が大きいだろう。
主演の宇梶はもちろんのこと子役の神木隆之介とさらに一番気になったのは一雄の友達役である哲夫だ。
コテコテの関西弁だが、厳しい口調の中にも優しさやユーモアに溢れており、
物語の良いアクセントになっている。
最後の結末の場面ではちょっと前に新日本プロレスの安田が無謀ともいえる挑戦をし、
奇跡的な勝利をおさめその後、娘を肩車するというリアルな画面があったのだが、
偶然にも(必然か?)その場面とまったく同じだった。

■ストーリー
「新世界プロレス」のプロレスラー下田牛之助と小学生の息子・一雄は、
大阪にあるオンボロアパートに引っ越してくる。
妻が他界した牛之助は、自分の父親と同居することにしたのだ。
一雄は同じアパートに住む牛之助の幼なじみ・英恵の息子、哲夫と大の仲良しになる。
プロレスラーの父を哲夫はうらやむが、一雄は始終浮かぬ顔。
巡業続きで留守がちな父と一雄の間には、埋まらない溝が出来つつあったのだ。
そんな中、牛之助はチームの意向でヒール(悪役)に転向し、
その後無謀ともいえる異種格闘技線に挑戦することになるのだが・・・

■感想
ベタベタな大阪弁が良い。特に一雄がいかにも賢い東京の坊ちゃんならば
哲夫はコテコテの大阪弁で、それでいて友達思いのとても良いやつだったりする。
本作は子供達のやりとりがかなりポイントになっているような気がする。
そこで面白くなければ全体としてとても締まらないものになっていただろう。
子供あっての親というのが本作では強調されている。

本職のプロレスラーも恐らく出演しているであろう中で、主演の宇梶が体格的にまったく見劣りしていない。
かなり鍛えられて肉体で年齢を考えるとものすごいトレーニングをつんで作り上げられた体なのだろう、
その体があるからこそ、ベタベタな展開にも説得力が増し、面白さも増幅させている。

結末も誰もが思うような展開で驚きや衝撃はないのだが、
この王道具合がまさしく80年代の雰囲気にあっており
この年代の物語だからこそあえてベタベタな展開にして良かったと思う。
間違って現在のドラマにしてしまうと途端に嘘くさくまた、わざとらしさが際だつだろう。

現在にもリアルに新日本プロレスの安田という元力士からプロレスラーに転向し、
全く目がでなかったダメレスラーがおり安田は自分のギャンプルによりできた借金で
奥さんと子供に逃げられ、どうにもならない状態で一か八かでそのころ全盛期を迎えていた
K-1ファイターのジェロム・レバンナに総合格闘技ルールで挑戦した。
これはまさしく本作と同じ状況だろう。
くしくも、結末は同じ展開で偶然(と僕は思う)にも安田はジェロム・レバンナに勝ってしまう。
その後の展開まで全く同じで娘をリングに上げ、肩車をしたという伝説が残っている。

本作との関連はわからないがここまで一緒だと、脚本家があえて
分かりやすくインスパイアしているとしか思えない。
まあ、安田がベタベタな展開(テレビ局の演出なんて噂も・・)すぎたというのもあるが。



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