男たちの大和


2006.9.24 目移りするほどの豪華出演陣 【男たちの大和】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
豪華出演陣とリアルな戦闘シーン。戦争に向かう男達を待つ女達。売れる要素は盛りだくさんで、泣ける要素もてんこ盛りなことだろうと予想していたが・・。意外に泣けるシーンは少なかった。話題の俳優が多数登場し、ちょっと目移りした感があり、一人の俳優に感情移入することが難しいのかもしれない。とりあえず主役はいるのだが、それでもあちこちにチョイ役として結構な役者が出ているとどうしても気になってしまうものだ。生きて帰れぬと分かっていながら出発する前夜の行動は、分かっていながらも泣けてくる。こんな場面をここでだすのはずるいと思った。

■ストーリー

昭和19年の春。特別年少兵として戦艦大和に乗り込んだ神尾たちは、憧れの大和を前にし目を輝かせていた。しかしその喜びも束の間、彼らを待ち受けていたのは厳しい訓練の日々だった。神尾たちは上官である森脇・内田の叱咤激励のもと訓練に励んでいたが、彼らの努力もむなしく、日本は日増しに敗戦の色を濃くしていた。そして翌年の4月。米軍が沖縄上陸作戦を開始したのを受け、大和は沖縄特攻の命を下される。

■感想
反町隆史や中村獅童など人気俳優が他の豪華出演陣に負けず、ひときわ輝いているのが良くわかった。特に反町隆史は戦争映画では地味になりがちな後方支援関係ながら、その存在感は抜群だった。方や中村獅童はその見た目どおりに気性の荒い人物を演じており、敵を打ち倒すために集中する姿はまさにイメージにぴったりの役どころだと思った。それだけに印象に残っているのは、反町隆史の意外性だった。それとは別にチョイ役として登場した長島一茂や奥田英二など、それほど長時間でているわけではないのだが、やけに印象に残っている。

戦地に赴く男達とそれを待つ女達。この女達がいるからこそ、生きる意味がわいてくる。この女達がいなければその時代独特の雰囲気と周りの勢いから、戦地で特攻するのが当然というような雰囲気になってしまう。それをうまく現実に戻しているのが、男を待つ女達だと思った。彼女達がいるからこそ、戦地に出発する者の辛さを感じることができる。出て行く者よりも、ひたすら待つ方が辛いというのは分かってはいるが、悲しくなってくる。

回想形式で語られているので、主役である神尾とある人物は絶対に死なないとわかっている。実はこれが曲者で、死ぬか生きるかは分からない方がよかったのではないかと思った。すでに生存が確実となっていれば、どれだけ激しい戦闘がくり広げられても、絶対に死なないのだろうという安心感が生まれてしまう。死ぬか生きるかぎりぎりを表現しているわりには、緊張感が緩んでしまう場面でもある。

良くある豪華キャストを使った上辺だけの作品かと思ったが、中身は非常に重厚で、重みのある作品となっている。話題先行型ではないようだ。



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