オーディション 


2008.4.12 突然変貌する女か… 【オーディション】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
単純に恐ろしい。完璧に自分好みの女が、ある日突然変貌する。その残酷さゆえの恐ろしさもさることながら、何がきっかけとなって変わったのかが、イマイチ良くわからなかった。それは現実でもありえることで、本作ほど極端な変化はないにしても、ある程度、何が地雷だったのかわからないうちに相手が不機嫌になるということはある。男にとっては、女を理解するのはとても難しいことなのだと考えさせられることがある。本作では、さらにトラウマが加わり、突然爆発するように変化する。変化前と変化後の差が大きいほど、恐怖感も増幅する。結局は、残酷描写よりも、そこまで唐突に変化する相手に対して何もわからなかったということの方が恐ろしいような気がした。

■ストーリー

42歳の青山は、再婚相手を探すため「オーディション」を行う。4000人の応募者の中で青山の目をひいたのは、24歳の山崎麻美だった。不思議な魅力に惹かれる青山と、素直に心を開く麻美。青山は麻美にのめりこんでゆくが、彼女が求めたのは完璧な愛だった。愛と愛の凶器が嵐のクライマックスを呼び起こす、迫真のサイコホラー・ラブストーリー。

■感想
幼少期のトラウマが成人になってから影響を及ぼす。別に学者ではないので、詳しいことはわからないのだが、とりあえず現実感はない。身近に例がないというのもあるが、どこか物語の世界だけの話だと思ってしまう。しかし、ここ最近の日本で起きている無差別殺人を見ると、トラウマだけでなく、何か社会のゆがみが引き起こしている事件なのではないかと思えてきた。虚構の世界の話だと思っていたことが次々と現実に起こっている。恐らく知らないだけで、日本のどこかでは、本作のように愛した相手の突然変異に驚いている人もいるかもしれない。

突然の心境の変化も恐ろしいが、それよりも、自分の理想とするストライクど真ん中の人物が、実は異常な部分を持っていたと気づいたとき、いったいどのように感じるのだろうか。何か大事な宝物を突然奪われてしまったというイメージなのだろうか。それとも、裏切られたという気持ちの方が強くなるのだろうか。本作からは、その衝撃が大きすぎるために、青山の深層心理を読み取ることはできなかった。ただ、この出来事を機会に、大きく生まれ変わるのは確かだろう。女性不信に陥るか、それとも極端な女好きになるか…。

なまめかしい残酷描写も、頭の中でどれだけイメージできるかによって恐怖感は違ってくる。足を切り取る描写であっても、現実に見たことがなく、頭の中でイメージしても、リアルではない。経験したことがないものを表現されても、どこか肝心な部分がぼやけてしまっている。それはちょうど、SEXをしたことがない童貞が頭の中で想像する女体と大差ないだろう。経験したことがなければ、想像できないとしたら、かなり想像力に乏しいことになる。想像はできるのだが、そこにリアル感はない。

想像を絶する物語よりも、実は身近に起きそうな物語の方が、リアルな恐怖を感じられそうな気がした。



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