のど自慢


2008.2.25 田舎の一大イベント 【のど自慢】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
のど自慢に参加する人々の悲喜こもごもを描いている。様々な境遇の人々が、いろいろな思いをこめて歌を歌う。細かいエピソードにはまったく繋がりはないのだが、のど自慢という一つの大きなイベントを通して奇妙な一体感がそこには生まれている。田舎での一大イベントで町中が大騒ぎする様は見ていて面白い。個性のあるエピソードも悪くはないと思う。ただ、一つ一つがそれほどインパクトのあるものではなく、さらりと流し見してしまう。結局のど自慢でどうなったのか。のど自慢に出ることで特別な何かがあったのだろうか。ただ、のど自慢にでるためにバタバタしたという印象が最も強かった。

■ストーリー

NHKの人気番組「のど自慢」が我が街にやってくるということで、群馬県桐生市の歌好き人間はウキウキワクワク。何をやってもうまくいかないが家族仲だけはいい夫(大友康平)、地方ドサ回りの売れない演歌歌手(室井滋)、そして不倫の恋に悩む姉を応援している妹の高校生(伊藤歩)などなど、さまざまな境遇の人々が、さまざまな想いを胸に秘めながら番組に参加していく…。

■感想
番組制作の裏側が垣間見れたのは面白い。出演者とそれを演出する側の気持ちの温度差や、歌に対して特別な感情をこめている登場人物たち。特に竹中直人は相変わらず強烈なインパクトを残している。それ以外にも大友康平や室井滋など、個性の強いキャラクターは印象深い。のど自慢に出るということが目的となり、のど自慢に出てどうなったのか、なぜそこまでのど自慢にでたいと思うのか。強烈な行動に比べると、その思いが弱く感じてしまった。

何をやっても駄目な男や、売れない演歌歌手。家族の悩みを抱える女子高生など、様々な登場人物が、のど自慢の会場で一つになる。あの独特な雰囲気はのど自慢でしか表現できないのだろう。素人くささがもっともでている歌番組といっても過言ではない。そんな一大イベントを通して、地元住民の盛り上がり、そして、番組制作側のドライな対応。すべてが現実に起こっていてもおかしくないほど、妙にリアルに感じてしまう。

本作の主人公が売れない演歌歌手だとしても、そのエピソードが特別印象に残っているわけではない。いろいろなパターンがあるのだろうが、結局最後まで頭の中に映像として残っているのは、竹中直人のモミアゲと歌なのかもしれない。他のエピソードはインパクトの面ではまったく歯が立っていない。核となるものも、なんだかぼやけてしまったようにも感じる。そうなってくると、登場人物が多いだけに全体としてぼんやりとした後味は拭えない。

のど自慢という題材は面白いと思う。様々な人々がのど自慢の会場で目的を達成するのも良いと思う。ただ、一つ一つのエピソードに魅力的な何かが足りないような気がした。



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