ニッポンの課長 重松清


2007.8.27 やるきマンマン課長 【ニッポンの課長】

                     
■ヒトコト感想
課長世代は自分よりも一世代上の世代だ。今、社会人として実際に課長の部下として仕事をしている自分からすると、課長というのが、それほど魅力的な役職だとは思わない。下からは文句を言われ、上からはキツイノルマを課せられる。すでに第一線を退いた課長の言うことに対して、部下は必要以上に反発してしまう。そんな現実を見ていると、本作の中の課長がうらやましくなってくる。ここまで仕事に情熱を燃やし、やるきマンマンな部分を見せられると、課長という役職がすごくすばらしいもののように感じてくる。

■ストーリー

係長以上、部長以下。偉いような、そうでもないような「課長」。自らも中間管理職世代になったシゲマツが、21世紀の課長さん21人を現地直撃ルポ。再生法申請会社の「建て直し課長」に、不況知らずの「ヒット課長」、「ドラえもん課長」に「夕焼け課長」…その意外な仕事とは?課長さんパワーのヒミツを徹底解明。

■感想
課長といって思い浮かべるイメージは、管理だけ、現場のことをわからない、責任だけがのしかかる。まったく良いイメージがない。おそらく今、僕が勤めている会社は、日本の一般的な企業としては平均的な部類に入るはずだ。そう考えると、課長に対しては、なんら魅力を感じない。できることなら、課長の役職は飛び越して、一気に部長や、それ以上まで出世するのが理想だろう。苦しいだけで、なんの喜びもない役職だと思っていた。

本作の課長たちは、僕自身の課長に対するイメージを一新させるほどのインパクトがあった。ただ、本作に登場する課長は、机上で管理だけの課長ではない。自分で実際に考え、行動し、そして結果をだす。現場の第一線を離れることなく、課長としての裁量を手に入れた、まさに最強の企業人となっている。確かに、こんな環境であれば、課長としての、いや、企業人としての自分の能力を存分にはっきできることだろう。

ビジネス誌に登場するくらいなので、ダメ課長であるはずがない。世間一般でいうところの課長が、すべて本作に登場するような人物ばかりではないはずだ。しかし、ある一つのモデルとして、こんな課長もいるのだということがわかると、競争心が欠如しているといわれて久しい若い社会人たちの良い目標となるのだろう。

課長になることが目的ではない、仕事をする上で、権力が必要となったとき、課長の魅力がわかるのかもしれない。




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