2005.11.17 最後のポエムにビックリ 【人形式モナリザ】
評価:3
■ヒトコト感想
物語の最後にアッと驚かされ強烈に印象に残る作品と、
全体を通して興味を引かれなかなか読むことをやめられない作品。
2つのパターンがあるとしたら本作は前者にあたるだろう。
作中に悪魔崇拝者や神の白い手などが登場し、
ちょっとオカルトちっくな雰囲気を醸し出してはいるが、それだけでありわりとあっさりしている印象を受けた。
しかし本作の最後にあっと驚かされ、
考えさせられる部分があり読後感は不思議な気分になる。
これを良しとするかは置いといて、印象に残る部分があるということは作品自体の優れた部分なのだろう。
結局悪魔崇拝者は精神異常ですまされたのは納得いかないが。
■ストーリー
蓼科に建つ私設博物館「人形の館」に常設されたステージで衆人環視の中、
「乙女文楽」演者が謎の死を遂げた。
2年前に不可解な死に方をした悪魔崇拝者。その未亡人が語る「神の白い手」。
美しい避暑地で起こった白昼夢のような事件に瀬在丸紅子と保呂草潤平ら阿漕荘の面々が対峙する。
Vシリーズ第2弾。
■感想
森作品には頭脳明晰な人物が沢山登場する。S&Mシリーズの犀川と萌絵しかり、その他の登場人物達も
平均以上の頭脳を持っているようだった。しかし本作に限っては
特にそんな描写もなくホントに普通の一般人が事件に巻き込まれたというような流れになっている。
前作では紅子が人並みはずれた頭脳を持っているという描写はあったのだが、
どうもそれが実感できるような場面がないために、ただのわがまま女という印象を持ってしまう。
事件のトリックをあっさり見抜くということより、何か別で頭の良さを表現してほしいと思った。
前作の保呂草はまさしくキレル人物という描写だったが、本作の保呂草はまったくの別人なので、
どんな描写がされるかということに期待していたが、どうも微妙だ。
確かにキレル人物という印象を受けるが、それよりも腹黒く何か秘密がある
悪い人物というような印象の方が強い。これは意図的に今後の作品の為の伏線なのだろうか??
何か裏で悪事をはたらいていそうな感じは前作よりもアップしている。
オカルト的なものはある程度解決されているのだが、
その元凶である悪魔崇拝については多くを語られていない。
なぜそうなったかということが明確に語られていない。
もしかして、最後にちょっと予想外のことで衝撃を受けたあのポエムが関係しているのだろうか?
あのポエムで全てを想像するのは僕には難しかった。
人形とモナリザのトリックは誰も気づかなかったのだろうか??
写真を撮った時点で誰か気づきそうなものだが
細かい重箱の隅をつつくような指摘はしないことにする。
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