虹の女神


2007.9.6 淡い青春時代の物語 【虹の女神】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
青春時代の淡い恋物語。一言でいってしまえばそうなる。ただ、本作を見てどの程度、その淡い恋物語に悶えることができるかは人それぞれだろう。正直、僕自身はサラリと流してしまった。恐らくそれは主演の、特に女役である上野樹里に対しての印象だろう。どうしてもさっぱりとした男っぽい印象をもち、それが良いように作用しなかった。友達以上恋人未満の淡い恋心を感じさせる雰囲気も少なかった。なんだか淡々と流れる青春をなぞり、最後に故人の形見である自主制作映画を見せて泣かせようとしているのがみえみえだった。

■ストーリー

空に水平に走る珍しい虹を写メールして、アメリカにいる友人・あおいに送った智也。だが彼女からの返事はなく、帰ってきたのは彼女の事故死の知らせだった。葬儀などが行われたりする中で、いつしか智也はあおいとの出会いなどを振り返っていくのだが…。

■感想
冒頭から登場するあおいの死。ここでの衝撃具合を観衆は理解することができない。そこから、二人の出会いのシーンまで吹っ飛び、ゆっくりと二人の関係を説明していく。非常にわかりやすく、たまに現在の時間に戻ることで、悲しさを再認識さえている。周りのキャラクターも個性があり、あおい以外に智也にもさまざまな事件が起こる。ごくありふれた青春物語がわりとかけ足で語られている。

この段階で、どれだけ
二人に感情移入できるのか。それで最後のクライマックスで泣けるかどうか別れてくるだろう。何か、二人と似たようなエピソードを過去に経験していたり、身近に感じれば十分感動できるだろう。自主映画を撮ったこともなければ、彼女がアメリカへ行ったわけでもない。そんな人には、大学生という部分と淡い恋心という共通項があればよいのだろう。ただ、僕の場合は、全体を通してほとんど感情移入することができなかった。

平凡な青春物語の中で、異彩を放っていたのが、智也がバツイチ女に結婚を迫られる場面だろう。この部分は絶対に作品として必要だとは思わないが、意外に智也という人物を形作る上でずいぶん効果的だと思った。なんに対しても流されがちな智也。その性格から最後まであおいに対して決定的な言葉を伝えることができなかったのだろう。

結末は明らかに涙を誘うつくりとなっている。しかし、まったく泣けなければ、ただ淡々と見るしかなかった。青春時代を懐かしむには、僕にはリアリティが足りなかったような気がした。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp