2005.6.6 人間味溢れる刑事 【眠りの森】
■ヒトコト感想
過去に読んだ東野作品の中で何作かに登場してきた加賀刑事。
論理的できっちりとした完璧主義な印象を持っていたが、本作ではその印象はがらっと変わった。
人間味溢れる行動と、未緒とのラブロマンスがとてもよかった。
相手となる未緒もその言動や行動などがとてもかわいらしく感じ、
守ってあげたくなるような人物だ。
キャラクターの魅力によりドンドン物語に引き込まれていった。
■ストーリー
美貌のバレリーナが男を殺したのは、ほんとうに正当防衛だったのか?
完璧な踊りを求めて一途にけいこに励む高柳バレエ団のプリマたち。
美女たちの世界に迷い込んだ男は死体になっていた。
若き敏腕刑事・加賀恭一郎は浅岡未緒に魅かれ、事件の真相に肉迫する。
■感想
加賀刑事の印象ががらっと変わった作品だ。クールに事件関係者とは
決して親密にはならないような人物だったが、本作はものすごく人間味に溢れている。
特に未緒と会話するときには「俺」と行っていたのはものすごく
違和感を感じたと共に、何か若さを感じた。
バレエという閉鎖された世界で、今までは華やかなイメージしかなかったが、
舞台上で見せる華やかさを支える弛まない努力と異常とも思えるダイエット。
バレエの世界に身を置いている人しか分からないような部分に触れることができた。
その中でもひときわ僕の心に残っているのは未緒だ。
加賀とのラブロマンスというのもあるが、それ以前に未緒が発する言葉や
行動描写がとてもかわいらしく、けなげに感じてしまった。
バレリーナというイメージと、心理描写から触ったら壊れてしまうような
とても繊細な印象を受けたが、バレエに対する強烈な執念の様な物も感じた。
本作はバレエ一筋に打ち込む人々の物語なのだが、ある種一般人には理解できない
部分があり、全ての物をなげうってでもやり続けるほどの価値を見いだすことが
できるのだろうか。
それを見つけることができた人はとても幸せだと思う。
最後のシーンの未緒達はとても充実し、満足しているような印象をもった。
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