捩れ屋敷の利鈍 


2005.12.25 まるっきりS&Mシリーズだ 【捩れ屋敷の利鈍】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
本作はVシリーズなのだが、どうも読んでいるとS&Mシリーズに思えてしかたがない
登場キャラクター達もS&Mシリーズが大半でVシリーズからは保呂草だけというのもあるし、
事件の探偵役を紅子ではなく萌絵がやっているあたりでもそう感じるのだろう。
保呂草の悪ぶりが際立っているのだが、どうも今までの保呂草のキャラクターと違い好感がもてない。
萌絵の秘密に対しても最後まで明らかにされず、ちょっとストレスがたまってしまう。
今までのVシリーズとは明らかに異なった作品だ。

■ストーリー
秘宝“エンジェル・マヌーバ”が眠る“メビウスの帯”構造の捩れ屋敷。
密室状態の建物の内部で死体が発見され、秘宝も消えてしまった。さらに、完璧な密室に第2の死体が!
招待客は保呂草潤平、そして西之園萌絵。探偵は前代未聞の手法によって犯人を言い当てる。

■感想
今回の保呂草はもしかしたら別人なのではないだろうかと読んでる間中ずっと思っていた。
それほど今までの保呂草とは違和感があり、ここまで違和感があると何かしらの理由があり
説得力のあるものに最終的には導いてくれると思っていたが、結局何もなかった。
久しぶりに登場した萌絵に力が注がれ保呂草まで手が回らなかったのだろうか。

メビウスの輪をモチーフにした建物というのは、
文章で表現されてはいるが創造するのは相当想像力がないと難しいかもしれない。
頭の中でなんとなくイメージできるが、
果たしてこのイメージが作者の意図しているものなのかはわからない。
ここでずれてしまうと本作のトリックもまったく理解できないだろう。
人の想像力と理解力を試されているようで、敷居は高いような印象をうけた。

VシリーズでありながらもS&Mシリーズの雰囲気をもち、萌絵対保呂草という図式なのだろうが
どうも対決というよりはお互い目指しているベクトルが異なっているので、いつまでたっても交わらずに
対決というよりも、お互い気にしながらも何もできないというような感じかもしれない。

終始、今までの保呂草とはがらりと変わる雰囲気をもっており、
最後に登場した紅子との会話もものすごく気になる。
この会話についての解説もネタ晴らしも何もないので、これはかなりストレスがたまってしまった。
これはその後解決されるのだろうか。最後まで何もないのであれば、
大風呂敷を広げて結局たたみきれないその変の駄作と同じになってしまう。
Vシリーズはそうでないことを願っている。



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