2006.6.25 わけが分からないまま完結 【ねじまき鳥クロニクル 第三部】
評価:3
■ヒトコト感想
ストーリーを読んでも恐らくどんな物語かわからないだろう。全て読み終わって、どんな物語かと聞かれても答えることができない。どんなに時間を掛けても雰囲気を感じ取ってもらうのは難しいだろう。なのでこんな感想を書く意味があるのか微妙だ。最終的に結末らしいことにはなっているのだが、何の目的が達成されたとか、何か困難を克服したような流れになっているようだ。しかしその状況に対してしっかりとした説明がされていない。全体の雰囲気としては目の前に立ちふさがる巨大な敵を打ち破ることに成功したのだが、それで幸せになったのかもわからない。
■ストーリー
奇妙な夏が終わり、井戸は埋められた。そして人々はみんなどこかに去っていった。ねじまき鳥の声ももう聞こえない。僕に残されたのは、頬の深く青いあざと、謎の青年から引き渡された野球のバットだけだ。僕は少しずつ核心に近づいている。猫は戻る、笠原メイは遠い場所から手紙を書き続ける、間宮中尉はもうひとつの秘密を打ち明ける。ねじまき鳥に導かれた謎の迷宮への旅へ。
■感想
最大の敵と目されている綿谷昇。結局彼がどんな能力がありどんなことをクミコや加納クレタにおこなったのか、おそらくそれは精神的なものなのだろう。全編を通して精神的な話が多数を占めており、夢か現実かわからない曖昧な世界で苦悩する主人公。読み進める中でもこれが現実なのか、それとも妄想の一部なのか分からず、その心境はまさに主人公と同じく不安で一杯だった。
井戸やバット、ねじまき鳥、痣。それぞれポイントとなるものなのだが、それが最終的にどんな意味がありどんな役割を果たしていたのか一切説明がない。様々なエピソードの中で共通して登場したりとあきらかに何か深い意味があるようなのだが、明確にされない。雰囲気はミステリーのように不思議な感覚で一杯なのだが、謎解きが一切ないので、もしかしたらストレスがたまるかもしれない。
細かなエピソードも結局はどうつながりがあったのかわからない。痣で繋がれた仲や誰かの妄想で繋がれた展開。最後にはキッチリと決着をつけているのだが、それすらいったい現実なのか、妄想なのかわからないうちに全てが終わっていたというような感じだ。
不思議な登場人物のなかで笠原メイだけがやけに現実的でリアルに思えた。彼女だかが最後まで残ったように主人公にとっては彼女が一番ふさわしい人物だったのかもしれない。
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