涙そうそう


2007.11.7 「にいにい」に痺れる 【涙そうそう】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
今をときめく若手俳優の共演。確かに本作の長澤まさみは可愛いと思う。にいにい役の妻夫木も純粋な心の持ち主だということがよくわかる。泣かせようとする場面も、しっかりと押さえてあり、申し分ないのだが、それでもどこか覚めた目線で見てしまった。泣かせようとするあまり、リアルでない展開となっている。強い兄妹の絆を描こうとすればするほど、よけい覚めてしまった。長澤まさみの可愛さ以外、特に見るべき部分がないようにも感じてしまった。

■ストーリー

2001年、沖縄。いつか自分の飲食店を出すという夢を持ち、ひたむきに生きる働き者の青年・新垣洋太郎。今日も食材運びのバイトに精を出している。この日はいつにも増して陽気で、仕事をしながら絶えず笑顔がこぼれている。それもそのはず、洋太郎が誰よりも大切にしている妹のカオルが高校に合格し、オバァと暮らす島を離れ、本島にやって来るのだ―だが喜びもつかの間、洋太郎は詐欺に遭ってしまい…。

■感想
離れて暮らす義理の妹と一緒に暮らすことになった兄。妹が長澤まさみであれば、かなり衝撃というか、普通ではいられないだろう。妹思いの兄の行動は、まあ、わりと筋の通った行動かもしれない。そして、もちろん妹も兄を思っての行動なのだろう。お互いがお互いを思いやり、特別おかしな行動はしていないはずだが、物語として何か事件が必要なため、突然訪れる突発的な出来事だけはいただけなかった。台風で困った妹のもとに突然現れる兄。なんだか都合が良すぎる展開だ。

兄妹愛と兄、妹のそれぞれの夢。年齢的に離れて暮らしてもまったく問題はないと思うのだが、物語の中では、それが今生の別れのように描かれている。離れて暮らすことぐらい、普通にあると思うが…。このあたりから不穏な空気が流れ始めた。そうなってくると、予想通り、怒涛の展開が待っている。泣かせようと必死なのが、画面からもありありと伝わってきた。周りが見えなくなるほど、物語に感情移入すれば泣けるのかもしれないが、なかなか難しいだろう。

不器用な兄。そんな兄が妹のために手紙を残す。もちろんその手紙は感動を誘う言葉が沢山つまっている。沖縄という場所と、義理の兄妹という部分以外は、まあ、わりとありきたりな物語なのだろう。純粋な兄妹愛が見たいという人にはお勧めだろうが、スッキリすんなりと感情移入はできないような気がした。

そうは言っても、独特の沖縄弁は新鮮で、長澤まさみの
「にいにい」という言葉には痺れるものがある。ただ、あまりにもベタな展開にがっかりしたというのはある。



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