木曜組曲 


2006.4.3 女同士の茶飲み話 【木曜組曲】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
うぐいす館に集まった女性達。物語はうぐいす館の内部でそれぞれの主義主張を繰り返し議論していく。場面の展開が少なく、固定された登場人物達で繰り広げるため、物語の広がりやハラハラドキドキというのは少ない。事件もそれほど深刻に思えず、どこか女同士の茶飲み話のように思えて仕方がない。非常にシンプルで初志貫徹しているのだが、面白味が足りない。女同士の駆け引きというと、もっとドロドロしたものを思いがちだが、本作では驚くほどすっきりしている。

■ストーリー

耽美派小説の巨匠、重松時子が薬物死を遂げてから、四年。時子に縁の深い女たちが今年もうぐいす館に集まり、彼女を偲ぶ宴が催された。ライター絵里子、流行作家尚美、純文学作家つかさ、編集者えい子、出版プロダクション経営の静子。なごやかな会話は、謎のメッセージをきっかけに、いつしか告発と告白の嵐に飲み込まれてしまう。はたして時子は、自殺か、他殺か―?

■感想
箱庭的というか、決まった舞台で決まった登場人物達がお互いの意見を言い合う。舞台などに良くあるパターンだがよっぽどキャラクターに魅力があり、物語の確信が謎に包まれ、読者を退屈させない何かがないと最後まで興味をひきつけるのは難しいのかもしれない。

文章は非常に読みやすく、サクサクと進める感覚は読んでいて心地よいのだが、さらりと読める反面、お互いの駆け引きや、ドロドロした部分を感じることができなかった。山あり谷ありというわけでもなく、新たな犠牲者が生まれるわけでもない。終始同じテーマでひたすら議論を続けている。これって良くあるパターンなのかもしれないが、どうも好きになれない。

ミステリー的にどうとか、トリックがどうと言うつもりはないが、緊迫感はある程度必要だと思う。それを考えると、ほとんど親戚同士のようなメンバーで、遺産や何か特別なものが目当てであるわけでもない。キャラクターが皆女性で、作家業に携わっているというのもなじめない原因かもしれない。この中に一人でも男がいたら、またずいぶん変った雰囲気の作品になっていただろう。

女性が読んだらまた印象が変るのだろう。本作はミステリー好きの女性に強烈にお勧めされて読んでみたので本作は性別によって、ずいぶん印象が変る作品なのかもしれない。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
*yahoo.co.jp