2006.5.22 マルコビッチになりたいか? 【マルコビッチの穴】
評価:3
■ヒトコト感想
変身願望というのだろうか。他人になりたいという気持ちを穴に入るということで実現する。アイデアは面白いのだが、その変身する他人がマルコビッチオンリーというところに本作の特殊さがある。いくらセレブだからといって誰もがマルコビッチになりたいと思うわけではない。皆がこぞってマルコビッチになりたがる、その魅力がイマイチよくわからないが、人形使いのリアルな人形捌きには目を見張るものがある。人形のリアルな動きが一番印象に残っている。
■ストーリー
実力はあるのだがその腕を認められず惨めな生活をおくっていた人形使いのシュワルツ。彼はある日とある会社に就職することになった。シュワルツはそのオフィスで、俳優ジョン・マルコヴィッチの頭のなかへ通じる穴を見つける。彼は妻を誘って、その穴で儲けようと企むが…。
■感想
冒頭に登場する人形のリアルな表情と動き。これだけでかなりのインパクトがある。人形のシュールすぎる表情と共に、物語もシュールな方向へ進んでいく。オフィスが7階と1/2だったり、社長がちょっと変わっていたりともしかしたらかなりシュールな作品かと思いきや、意外に現実的だった。
人形使いとしての実力が認められないシュワルツが、マルコビッチの頭の中に入り込みまるで人形のように思うがままマルコビッチを操作する。そしてマルコビッチの地位を利用して人形使いとしてブレイクしていく。これでシュワルツは幸せなのだろうか。結局は他人の力を借りて、自分ではなく他人が評価される現実。マルコビッチから抜け出すと、自分には何もないと言ったシュワルツが無性に悲しく思えた。
もしかしたらマルコビッチというのは何かの象徴なのかもしれない。皆が憧れその頭の中に入りたがる。マルコビッチになると、とても幸せな気持ちになりやみつきになる。それは15分しか持たず、すぐに現実に戻される。変身願望があるとしても、毎回同じ人間になることがやみつきになるのは何か麻薬的な禁断の果実のようなものなのだろうか。
客観的に見るとマルコビッチは色気はあるが40過ぎの禿げたおっさんだ。そのおっさんに皆がこぞってなりたがることに疑問を持ってはいけないのだろう。僕はどうせなるならモテモテの若いアイドルになりたい。
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